第24話ひゅーどろどろ
「ふんふふーん♪」
「そういえば、どこに向かってるんですか…?」
「それはですねぇ…ナイショですっ。」
言ったら逃げられそうだしね…着いてからのお楽しみってね。
そんなこんな途中帰ろうとするいろはを連れてやってまいりました!!!
泣く子も黙ってぽっくり逝っちゃうホラーダンジョン、一回入ったら死ぬまで出られないデバフ地獄と名高い町はずれの一軒の館。《亡国の姫メアリーの館》!
「…もしかしてこことか言いませんよね?」
「ここですよ?一度入ったら出られない超不人気ダンジョン…本物のお化けにVRとは言え会えるなんてテンション上がりますよねっ!!!」
お化け見たことないんだよね…昔ポルターガイスト現象が起こったときに紙もってサインくださいって言ったらそれ以来会えなくなっちゃったし…
一通り心霊スポットに行ってみたはいいものののファンレターと差し入れ渡せなかったしな…
ここなら絶対会えるよね♪
「いやです。帰ります。」
「そこをなんとか…いろは向きのダンジョンなのは間違いないですし…」
「…いやです」
「今度いろはの行きたいとこに付き合いますからぁ…」
「…どこでもですか?」
「もちろんどこでも着いていきますよ!」
ここで逃げられたら全部台無しだからね…私一人だと館の奥に行けるか怪しいし…
「…今回だけですからね。」
「ありがとうございますっ!!!」
やった!!!どこでもっていうのは若干怖いけど、たぶん大丈夫だよね。うん。
気が変わる前にといろはを押しながら屋敷の中に入っていく。
そして、完全に私たちが中に入った瞬間
バタンッ…
勢いよく扉が閉まった。
「きゃっ!?」
「おぉ!!」
話には聞いてたけど生で見るとやっぱりいいね!
引っ張てみるが、びくともしない。わぁ本格的ぃ!!
「なんでテンション上がってるんですかぁ…」
「いや、だって滅多にこんなにリアルな心霊現象味わえないですよ?折角だし楽しみましょ?」
「同行者のほうがホラーかもしれないです…ぐすん」
私はただの人間だよ?あ、今は古代精霊種だったっけ。ホラーとは程遠い種族なのに…
「それにしても広い玄関ですねぇ。ここから先はアンデッドやゴーストがうようよしているそうなので楽しん…気を付けていきましょう。」
「今ゆらさん楽しんでって言いかけた…怖いんですけど」
「言ってないですよ?多分」
そんな掛け合いをしつつ玄関を抜けると
「わぁ熱烈な歓迎ですね♡」
「何喜んでるんですか!というかどうすればいいのかとか何も聞いてないんですけど…?」
「あー…そうですねぇ。それはですね、鑑定しつつ弱点に攻撃当てて、デバフ食らったら即回復です。」
「…?」
「ほら、固まってる暇はありませんよ。足止めは私がやるのでいろははどんどんトドメを刺してデバフ回復お願いしますね。」
「はぁっ!?簡単に言わないでくださいっ!あーもうっ!今度から絶対ゆらさんの言うこと信用しないからぁっっ!!!」
あら、ショック。でも、無茶を言ってるわけじゃないんだけどね。あのキングラットの魔法弾幕を全部避けて隙を見て鑑定なんて普通できないからね。
治療技術も高いっておネェ様から聞いたし、あとは全部組み合わせるだけだからできるできる!
「いろはならできますよ。絶対に。」
「…もうっ!やればいいんですねっ!!!」
あ、デレた。いろはは本当にかわいいねぇ。
おっと、いつまでも戯れてたいところだったけど、待てない悪い子達がいるし仕方ないね。
「ゆらさんっ!絶対に私のもとにモンスターを近づけないでくださいね!!!あと、ボムは気合いで避けてください。」
だいぶ無茶言うな…でも
「ええもちろんです。いろはも任せましたよ。」
よし、行きましょう。
まずは、足の早いゴースト系を爪で切り裂く。
「gruaaaaaa!!!」
うん、アンデッドが神官の魔法に弱いってwikiに書いてあったから、いけるかなって思ってたけどやっぱり効果抜群だね。こいつら神様属性に弱いんだねぇ。
足の遅いゾンビは後回し、スケルトンは鞭で足の骨崩して時間稼ぎして…
ブンッ
おっと、危ない。そうなんだよねぇ。
ここまでのモンスターは神官、もしくは光属性の武器でもあれば余裕…なのにここが死ぬまで出られないダンジョンなのは
「kyahahahahah…」
けたたましい笑い声とともにどこからともなく大量の人形とリビングアーマーが現れる。
うわっ動く人形きたぁ!糸も何もついてないでふよふよ浮遊してる。ぬいぐるみバージョンも、おどろおどろしくていいね。そしてその横を騎士のように守っているリビングアーマー…
中身が本当に入ってないのかバラバラにして確認したいな…(º﹃º)ジュルリ
「いろは、デバフ解除は任せましたよ!」
そう、こいつらこそが攻略不可能ダンジョンにしている原因。マーダーパペットとアーマーナイト。
何がやばいかと言うと…っと、このようにことあるごとにデバフをまきまくる人形達とっそれを破壊しようとすると全力で守る首なし鎧…
しかも、厄介なのは…
「って、ゆらさんあいつらのデバフ規則性なさすぎません!?」
「そりゃそうですよっ!だってあのデバフ完全ランダムですもんっ!!!」
そう、この次に何が来るのかすらわからないデバフ群。そして、幻覚や酩酊で立ち止まってるとっ…鎧が首チョンパしてくるという理不尽。
「でやぁっっ!!!」
「ナイスですよっ!」
そして、極め付きは…
「ってあの鎧、いつになったら壊れるんですかっ!?」
「弱点に攻撃があたるまでっですかね…!」
このクソ仕様である。あ、下品な言葉言っちゃった。
「クソじゃないですかっ!?」
「だからっ、鑑定お願いしますよっ!!!」
「えぇっ!?もーわかりましたよっ!!!死なないでくださいね。」
「はいっ!」
残982/999
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一般プレイヤーの中での状態異常対策状況
確率で治す系アイテムが主流。鑑定職がほぼいないため何となく自分が思う状態異常を治す薬を使うという頭の悪いことやっている。状態異常付与系の武器はほとんど出回ってないうえ、《亡国の姫メアリーの館》以外ではデバフを使うモンスターが出てこないため対策は進んでいない。
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