第12話 装備者登録
「「!?」」
姉二人の驚きようが凄い。そんなに凄い剣なのか。いや、神剣って言ってたし、この世界では伝説級の剣なのだろうか?
「サ、サリエル様。良いのですか!?それは…。」
「神剣なんて流石に今のヘレンちゃんには危険!!」
姉二人の反応から察するに、神剣というよりサリエルさんの愛剣は相当ヤバイ代物なのだろう。
リディアの確認の声とレイラーの非難の声にサリエルさんは冷静に応える。
「ええ、構わないわ。愛剣と言っても、もう全然使わずに収納してたからね。この剣も使われずに放置されるより、誰かに使ってもらう方が嬉しいと思うわよ。それに、いくら私でも今のヘレンちゃんに持たせるような愚行は犯さないわ。ちゃんとヘレンちゃんの実力と身体に合わせて
うーんまぁ、サリエルさんの言い分は理解出来る。無名の名刀だって飾られるより使われないと高名になれないと聞くし、それと同じだろう。
それと僕の実力と身体に合わせた封印処置を施してくれたのは非常にありがたい。どの程度の破壊力があるのか知らけどね。
サリエルさんの説明で姉二人は納得したのか、それ声を上げることは無かった。
だがここで何かに気付いたのかリディアが問う。
「そういえば、ヘレンちゃんはまだ神剣は持てないようだけどどうするの?」
確かにあの重さはどう足掻いても持てない。僕が持てなかった場合はどうするつもりだったんだろ?
僕の疑問の表情に気付いたサリエルさんが説明をしてくれるが内容がかなり専門的で理解が難しい。
僕が理解出来た情報を要約すると、さっきサリエルさんがボソッと呟いていた装備者登録はいわば《防犯魔術》の一種で武器や防具などの"装備品"であればなんでも登録が可能らしい。
何そのダサい名前の魔術?とも思ったが、どうも存在自体が非常に希少であり、永く生きる始原を除く天使族の中でさえ、この魔術の存在を知る者は両手で数えられる程度しか居ないのだとか。
また効果自体が地味であることやそもそも盗みを働く不届き者がおらず、使用する機会が無いことも知名度の低さに拍車を掛けている。
そして、その魔術の効果は登録者が所持した場合は本来の質量が最大で十一倍減少するのに反して、登録者以外が所持した場合、最大で十一倍増加する。
要するに反比例の性質を生かした防犯用の魔術のようだ。
「……。」
姉…特にレイラーはあの難解でテクニカルな説明を理解出来たのか、それとも完全初耳の魔術を知ることが出来たからかはわからないがとても興味深々の様子だ。
正直この解釈で正解だと思うが、それでもサリエルさんの意図が読み取れない。
するとまたも僕の疑問の表情を読み取ったのかサリエルさんが説明を始める。
この人やけに鋭いな。それとも僕が顔に出やすいのだろうか?
「ヘレンちゃんに
あ、そういう風に使うことも出来るのね。まぁ、持つことすら困難だったので少し軽くなるだけでも有り難いが、それでも持つことが出来るか不安だ。
だがサリエルさんは僕の不安をそっち退けで始める。
「それじゃあ登録するから
『???』
何故注ぐのかよくわからないが、僕は言われた通り、手を出し
どうやらこれで登録は完了したらしいのだが、僕は何故魔力を注いだのかを聞いてみると、どうやら魔力は前世で言うDNAのような物で、個人で微かに波長が異なるらしい。つまりこの剣は僕の魔力にしか反応しなくなったということだ。
「まぁ、そう言うこと。それじゃあはい、持ってみて。」
そう言って片手でヒョイっと剣の柄を掴んで渡してくる。
あのーその剣、本来の質量の二倍の重さが掛かってるんだよね?それをなんの苦もなく片手で持ち上げるとは…。
『んぉ!?』
想像よりは幾らかマシにはなったがそれでもまだ重い。多分三十キロはあると思う。というか見た目だけなら小学二年生ぐらいの女児がこれを持てるとか天使の身体ってヤバくね?
僕はこのとき初めて天使族の異常性に気付いたのだった。
◆◆◆
【補足】
防犯魔術:1→1+100%(2倍)(2分の1倍)
防犯魔術:2→1+200%(3倍)(3分の1倍)
・
・
・
防犯魔術:MAX(10) →1+1000%(11倍)(11分の1倍)
と言った感じの認識でお願いします。
※「1」は“装備品“の質量を表しています。
この《防犯魔術》は超が付く程に知名度が低くその存在を知る者は両手で数える程にしかいない。また使用用途の狭さなども影響し、実際に習得してるのはサリエルを含め3人しか存在しない。
・これからたまーにこの世界じゃ、超希少魔術とスキルが出てくる予定です。名前ダサいけど、暖かい目で読んで欲しいですw
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます