第24話 商業ギルドのサブマスター

道を見渡して反対側の冒険者ギルドを覗く、奥の食堂に2人が座って話している。


「風香ごめんよ、あんな事言われるとは思わなかったよ」


「本当ウチの職員が大変失礼しました、此処は奢るからお昼でも食べましょうね! ねぇ〜肉定食3つ持ってきて、商業ギルドの付けでねギルマスが払うからね」

奥に向かってサブマスが声をかける。


「おいおいそんな事を言って大丈夫なんですか」


「平気平気、私此処でお金払った事無いもん」


恐ろしやサブマス、可哀想なギルマス。


「所でこんな所で話しても良いのかな、それは秘密なんでしょう!」


「まあそうだよ、ただどうするかは俺達の考え一つさ!」


おばちゃんが食事を持ってくる。

「はい肉定食、商業ギルドのサブマスが来るなんてアレの商売かい?」


「そう今交渉中なのよ、手に入ったら少しは融通するわよ」


「それは実験台というのよ!サブマスさん」

何故かおばちゃんは嬉しそうに笑っている。


「実験台でもおばちゃんも女でしょう、彼女の髪を見てみなさいよ、お触りは駄目よ、此処にいる旦那さんにへそ曲げられちゃうからね」


おばちゃんは風香の背後に回る。


「どれどれ、へぇよく見つけたねサブマス、やっぱりあんたの目と鼻は大したもんだね」


「おばちゃんこれ分かるかい」


俺は胡椒の瓶を取り出して見せる。


「分からんねなんだい?」


俺は肉に胡椒を少しかけて、食べるように言う。


「ならあんたが食べさせてくれよ」


「風香に殺されたく無いからな、手で食べて見てくれ」


おばちゃんはひとつまみ肉を口に入れる。そして俺の背中をバンバン叩く。


「美味しい、なんだいこれ?」


「胡椒というものさ」


「待って胡椒なの、私のにもかけて頂戴」


サブマスの肉にもかけて上げる。


「ウォー、美味しいこれを商業ギルドで売らないのかい」


「数がない、それとこれはこの辺に無いのかい?」


「胡椒と言う調味料が遠い国に有るという事は分かっているが、この辺で食べた事があるのは国王とその王族ぐらいだ。王族だって他国からの献上品で、確かスプーン一杯だったと思うぞ」


「王様の献上品かい、よくそんなものが手に入ったね」


「まあ気にしないでくれよ、残りの物にも掛けて上げるよ、風香は?」


「おばちゃんごめんね、本当はおばちゃんの味を変えたくないんだけどね」

風香はおばちゃんに謝る。


「良いよ良いよそんな事は気にしないで、良いものがあったら試して見てくれ、それよりこの味夢に出てくるかもハハハ」


おばちゃんはまたキッチンに戻って行く。


「なあなぁその瓶だけでも売らないかい、金貨100枚でどうだろー」


「「売った」」風香とハモってしまつた。


「よし食べたらお願いだ、もう一度商業ギルドに来てくれ、部屋に行かないと金が払えんからな、そうと決まったら早く食べるぞ」


食べ終わってまた商業ギルドに3人で行く、


サブマスの背後をついて行く、サブマスが他の職員に何か指示を出している


「じゃあ私の部屋に行きましょう」


部屋に案内されてソファに座る。


「今ギルマスと肉ぐしを頼んだからね、少し待っていて、そうだよお茶忘れていた」


「紅茶ならありますよ、出しましょうか」


「えっ何処にあるの? もしよければ飲まして下さい。貴方達の持っている物は全て試したいから」


風香は紅茶を水筒から出した。


「待って待って、その水筒て何なの? もしかして新商品の予感」


「カブールさんも欲しがっていましたね、ウチらは普通に使ってましたけど」


「あんた達どれほどの物を持っているのよ、歩く新商品軍団なのね」


そんな事は無いですよと、俺は言っておく!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る