第51話 レナーテが熱く語る

 ティモの両親はレナーテが所属する【百花繚乱】のメンバーとダンジョン合同攻略に臨む事になった。


 先に到着したのはマティルデとシーウェルト。

 少し経ってからレナーテがやってきた。

「仲間がもう少しで到着致します。それと、別のパーティーが参加を求めておりますがいかがいたしましょうか。」

「それは願ったりだが・・・・君、レナーテと言ったかね?いくらなんでもそんな恰好でダンジョンへ入るのかね?」

 今のレナーテは何処からどう見ても普段着、動きやすそうに見えつつ少しお洒落な感じのだが・・・・ダンジョンへ入るのには明らかに向いていないように見えたので、シーウェルトは思わず聞いてしまった。

「そう思われるのは仕方がありませんが、私の装備はダンジョンで得られたものでして、以前着ていた鎧より遥かに防御力に優れているので、このままダンジョンへ入っても問題ありません。むしろ軽くて動きやすい上に快適機能が満載、サイズも自動調整と至れり尽くせり、しかも手持ちの武器はこのショートソードなのですが・・・・こちらも高名な職人が精魂込めて打った、所謂業物と呼ばれる一振りより遥かに性能が高いのです。」


 レナーテ達はティモの助けられた時、全ての武具が役に立たなくなっていた。

 ●注:26話付近を参照●

 それをどう思ったのか、ティモは一度ダンジョンから出て、1層の【宝部屋】へ向かい、衣類や武器を沢山得、再び休憩していた場所へ戻り、その場にいた全員に武器と衣類(生半可な防具より防御力や性能に優れている)を渡していたりする。

 実際渡された衣類だけで事足りたので、鎧は装着していない。


 いつものレナーテはここまで饒舌にはならないが、今はどうした事か興奮しており、ティモの両親に熱く語ってしまっていた。

「ええ?ダンジョン産の装備なの?」

「そうなのです。これを貸与して下さった方は命の恩人なのですが、未だ返却する目処が立たず、敢えて使用させて頂いております・・・・このかばんを見て下さい、ダンジョンでも使える収納かばんです・・・・」

 マティルデは収納かばんを受け取り・・・・驚愕した。

「こ、これがダンジョン産・・・・さっき貸与と言っていたわね?誰かが貸してくれたって事?」

「そうなのです。私達はダンジョン下層を攻略中、あと少しで深層と言う所で本来であれば下層で出現する事はあり得ない強さ、つまり深層の魔物に遭遇し全滅しそうになった所をとある冒険者に助けられ、その後ダンジョンを脱出するまでに色々なアイテムを授けて下さり、回復、食料の提供も行って下さった。今も彼に会いたいと思いつつ、見つけられずにいて・・・・恐らく今現在彼はダンジョンに居ると思われ、何とか彼の後を追いたい、そんな時にあなた方2人と出会った。」

「そうなのね。そう言えばまだ自己紹介をしていなかったわね。私達はマティルデとシーウェルトと言って、夫婦で冒険者をやっているわ。ある程度知っていると思うけれど息子がいてね、魔力経路が殆ど閉じてしまっていて、そのまま放置しているといずれ死に至るのよ。何とか治療したく世界中を旅していたのだけれど、もう後がなくってね、なので拠点に戻ってダンジョンをもう一度探索しようって事になって今ここにいるのよ。」

「それはタイミングがいい。丁度私共を助けて下さった方も魔力経路が殆ど閉じていたと聞いている。だが治療が成功したようで今は無駄な脂肪も無くすっきりとした体形で・・・・ってうわ!」

「前例があるのね!ぜひ会いたいわ!」

「これから彼を追ってダンジョンに入るのですよ・・・・仲間達が到着したようだ。」


 レナーテが探しているのはティモであり、マティルデとシーウェルトはティモを助けたい一心で危険を顧みずダンジョンに挑もうとしているのだが・・・・件の人物がティモとは双方気が付いていなかった・・・・


 ●  作者からの知らせとお礼  ●


 もうちょっと続きます。

 そして沢山の方に読んで頂き感謝です!

 いきなり急激なPV増加に差驚いておりますが、テンションが上がって嬉しい限りです!


 最近読み始めてまだ評価をされておられない方、是非とも☆を付けて頂きたくお願い致します!

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