第30話 地上へ送り届ける
さて古代語に関してだが、今はいいだろう。
俺の手紙を理解していなかった、と言う事が分かっただけでいいんだ。
古代語に関しては、俺の転生?記憶に対して、そして俺の現状がどうしてこうなっているのかわかる可能性があるので、地上へ戻ってから調べてみるのもいいな。
それよりも今はここにいる女性だけのパーティーと、俺を保護するはずだったパーティーを無事地上へ送り届けないといけない。
どうやら女性だけのパーティーは地上へ戻るエレベーターまで自力では到達するのが難しい上に、ここから自力で戻るには物資が無さすぎる。
そして俺を追っていたパーティーは明らかに実力不足で、自力で戻るのは不可能だろう。
そうなると俺が全員をエレベーターの所まで連れて行くしかない。
まあ一度行ったから問題はない、と思いたい。
俺は椿と相談する事にした。
桜はこういう相談って不向きだし。
《椿、古代語は戻ってからにするとして、ここにいる人達を地上へ送りたいがエレベータまで連れて行くのはどう思う?》
《マスターがどのような理由で地上へ送りたいかによりますが、送り届ける事自体は問題ありません。手段はどうあれ、自力でエレベーターに辿り着いた者のみ利用可能ですから。》
《何ていうかさ、このまま見捨てちゃったら寝ざめが悪くなるというか、折角知り合ったんだし、何とか脱出させてあげたいって言うのが理由かな。》
《マスターの意を汲み、私も全力でサポートいたします。尤もマスターの魔法があれば私は必要ないと思いますけれど。》
後は桜だな。
何だかんだで力になってくれているし、怪我人を運んでくれたし?
尤もその後は温泉に・・・・あれ?桜って今どうしているんだ?
「おーい桜!何処に居るんだ?」
俺は桜を呼んでみた。
暫くして温泉のある場所から声がした。
「うるさいヴァ!折角気持ちよく過ごしていたのに無粋ヴァ!」
何故か怒っているようだが、もしかしてずっと温泉に居たのか?
そう言えばカピバラって水辺に棲んでいるんだったよな。
だから温泉はうってつけだったのだろうか。
・・・・
・・・
・・
・
桜を温泉から回収し、荷物を纏め出発する事にした。
因みに俺の提案に関しこの場に居る全員、拒否権はない。
別に拒否してもらってもいが、拒否=ほぼ間違い無く死、だからだ。
「あの、こんなに良くして下さった上に、我々が当初目指していた地上へ行き来できる場所まで連れていって下さるとか、ティモ様って本当は神様なのではありませんか?先程から魔法を・・・・その、失礼ながらそれ程威力があるように見えないにもかかわらず、我々が苦戦していた魔物をあっさりと仕留めてしまうのを見てしまうと、やはり神・・・・」
いつの間にか神扱いされていたうえに、ティモ殿からティモ様に格上げされていた。
「断じて違うぞ。魔法はまあ、なんでだろうな。」
もし魔物の不意打ちがあってもいざとなれば椿か桜が、攻撃が俺に届く前に知らせてくれるから、俺自身が攻撃を受ける事態は発生しにくいだろう。
なので俺は女性達とこんなお喋りをしながらも無事案内できた。
「何も言うな、さあ皆乗るんだ。」
俺は全員を帰還させる事に成功した。
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