第24話 遅すぎる
戻ってこない・・・・どうした事だ。
女性の長風呂はよくある事だが、それにしても遅すぎる。
誰か一人ぐらい戻って来てもいいじゃないか。
それとも温泉の成分が濃すぎて全員意識を失ったとか?あり得る。
様子を見に行くべきか?だが違ったら裸を覗き見した変態扱いされかねん。
《桜に様子を確認させましょう。》
そうだった。桜はメスだった。
そうしよう・・・・って桜いないじゃないか!
いきなり詰んだ。
桜を呼びに行くにも向こうへ行く必要あるじゃないか。
因みに桜は女性陣と共に温泉を満喫中。
《では見に行かれますか?》
そうだなあ。近くで声を掛ければいいか。
俺は向かった。
・・・・
・・・
・・
・
一方の女性陣。
温泉で今まで着ていた、若しくは装備品等も洗い綺麗になった。
そして気が付いた。
とてもではないが男性の前に出ていい姿ではない、と。
あまりにも酷すぎて恥ずかしいのである。
「どどどどうしよう!血で汚れていたから誤魔化せていたけれど、ここまで皆の衣類が酷い事になっているとは。」
「ここは下層ですもの仕方がありません。あと少し行けば恐らく直通の移動手段があると思われるのですが、そこまで辿り着くのは厳しいですし。」
「グダグダ言っていても仕方ないじゃない?全員あいつに治療を受けるのに肌を触られ見られているじゃないか!今更だぞ?」
「あれはほら、あくまで治療だし?本当に治してもらったし?」
「だが、実際汚れを落としてしまったら、恥ずかしい。」
今更ながら恥ずかしがって温泉から出られない女性陣。
「そのまま寝ると良いヴァ!(今更恥ずかしがっても手遅れヴァ!)」
そんな女性陣を眺めている桜はどうでもいいと言わんばかりに言い放った。
「ね、寝るとは何処ででしょうか?」
「黒い箱があるヴァ!そこでマスターはいつも寝ているからそこで寝ると良いヴァ!ここは安全だからここで寝ても問題ないヴァ!さあ早くしろそうしろヴァ!!」
もっと長い時間温泉に入っていたい桜はそんな一言を放ち、その後は我関せずと湯につかり目を閉じてしまった。
・・・・
・・・
・・
・
よく考えたら女性陣用と俺用の湯舟は、脱衣所を含め洗い場その他も全部それぞれ別の入り口から入り、完全に壁で隔離されている。
だから覗きはできないようにしていたし、万が一うっかり女性達が入浴中の場所へ足を踏み入れてしまう、という事故?も起こらない。
だが声は届くはずだ。
「おーい桜、ちょっといいか?」
暫くすると、
「眠いヴァ!明日にするヴァ!」
よくわからんが興奮しているようだ。
落ち着くまで待とう。
さてどうするか。
女性達に新たな衣類を提供したいが余分はない。
何処かで作る?そんなスキルを俺は所有していない。
《もう少し移動すれば直通エレベーターがありますね。》
なんだそれ。
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