第23話 ひたすら食べる
俺の後方を付いてきている冒険者がいる。
彼等の為にいつも余分に食事を用意している。
今日は更に2倍の量で挑んでみた。
大丈夫、と思ったが駄目だった。
俺はゆっくり食事をしていたが、目の前に居る女性達は信じられない速度で食べていった。
俺はまだ半分も食べていないのに、既に料理はテーブルに存在していなかった。
後続の分も一緒に作ったはずなのにどういう事だ!
だが俺は平静を装って食べ続けた。
もっと欲しければまた作ればいいし、どうせもう一度作る事になりそうだしな。
俺が黙々と食べている中、女性達は既に食べ終えておりジーッと見られている感じがして何だか食べづらい。
結局色々と聞きたかったがそういう雰囲気ではないと感じ、会話がないまま食べ終えた。
まあ時間はまだある、次だ次。
「あー、色々聞こうと思ったが、それはまた後にしよう。それより大事な事がある。全員食事を終えた事だし、温泉で綺麗さっぱり今までの汚れと疲れをリフレッシュしてはどうだ?」
「そ、そうでした!私達とした事が、あまりもの空腹にすっかり忘れていました!」
「ああ!あろう事か貴殿に救ってもらったのにお礼もせずに己の欲望のまま行動してしまった。それに折角用意して頂いた食事を断りもなく全て平らげてしまった・・・・その、美味しかったのだが・・・・申し訳ございません。」
そこで土下座をされてもなあ。
「まあ今日は気合を入れて温泉を利用できるようにしたからさ、お腹がいっぱいになったんだったら身体を綺麗にしてきたら?なんならそのまま入って装備も含め、服も洗えばいい。」
まあ、装備と言っても既に無いに等しいし、服もあちこち破れて血で汚れ、もう見るに堪えないとまでは言わないが、それに近いからな。
「そ、そうでした!こんな下層で入浴できるのですか?」
「まあ実際向かえばわかるよ。ちゃんと仕切りもあるから気兼ねなく入ってきなよ。」
入浴を空腹時にやってしまうと最悪倒れるからな。
全員腹も満たされたようだし、もういいだろう。
それよりここって深層?下層?助けた時は深層と言ってなかったっけ?別にどうでもいいのだが。
「は、はい!そうします!!!」
「あーその、使い方は自分達で試行錯誤して・・・・ってもう聞いていないな。」
あっという間に俺が用意した脱衣所に向かってしまった。
尤もそのまま入って、先ず衣服を着たままシャワーで洗わないとどうにもならなさそうだ。
因みに浄化を使用すればよかったのだが、それをしなかったのには理由がある。
血で汚れているから肌の露出が隠れているのだが、万が一浄化を使う事により見えてはいけない部分が露出していた場合、見える訳で・・・・
暫く俺は俺専用に用意した場所で温泉を満喫し、全員が戻るのを待った。
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