第20話 若干範囲が広がる
自分の治療は触れなくてもできるが、他人の場合は患部を直接触れないと治療できない。
だがここにきて少し変化があった。
今までであれば触れた部分だけ治療できていたのだが、レナーテの身体を治療している途中で俺に変化が起こった結果、どうやら治療できる範囲が少し広がったようだ。
具体的には触れた部分とその周囲。
周囲と言っても精々指一本分なのだが、それでも違う。
それと今は治療に専念していたので気が付いていなかったのだが、どうやら俺は今までの数倍魔法を使用しても問題なくなっていたようだ。
かつての俺は魔法を数回使えばもう打ち止め。
無理に使えば気を失う。
だが今はどうだ?
短時間に何度も攻撃魔法、そして回復魔法を使用できている。
体中が熱くなっている影響かは分からないが、今の所魔力が枯渇しそうになる気配もないし、何だか調子がいい。
そして勢いのままレナーテを回復させていくが、問題は直接患部に触れていないと治療できない、の一言に尽きる。
ふと視線が気になったので見上げると、レナーテのパーティーメンバー全員が俺とレナーテを食い入るように見つめている。
これはあれか?【いやん照れちゃう】とかデレるべきなのか?
《キモいので絶対やめて下さい。》
椿から全力で制止がかかった。
まあいい。
それよりも何故誰もレナーテに布の一枚もかけてやらないんだ。
何だかんだで血まみれとは言え裸の状態で治療している。
既に悲惨な状態だった胸はたぶん元の状態になっている。
つまり女性の象徴が2つ目の前で実っているのだ。
何とか目を逸らすものの、今は下腹部、そしていよいよ性器だ。
ぶっちゃけて言えば、多分股関節もぐちゃぐちゃになっている。
触らないと治療できない・・・・いいのか?
誰も俺を制止しようとしないから、もうままよ!とそのまま触って治療していく。
・・・・
・・・
・・
・
俺はいつの間にかゾーンに入っていたようだ。
気が付けばレナーテの治療は終わっていた。
腕も多分元通りにくっついている。
そして驚く事にパーティーメンバー全員の治療も終えていたのだ。
何これ怖い。
「マスター一寸怖かった!」
桜が俺に寄り添ってくれている。
「あ、ああ?どうなっていた?」
桜が視界に入った瞬間、どうやら俺の緊張は解けてしまったようで、その場に崩れ落ちてしまった。
桜が上手に俺を受け止めてくれたから惨事にはならなかったが、これで頭を強打したとか今まで必死に治療をした意味が成さなくなるからな。
その後ここがダンジョン内の、しかもまだ魔物がいつ現れるか分からないエリアであるという事を忘れ、暫く桜を枕に寝てしまったようだ。
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