第15話 結局面倒なので

 ダンジョンで活動するようになってから、たぶん1ヶ月が経過した。


 追手の気配は相変わらずあるが、特に接触してこない。

 一体何が目的なのか相変わらず分からないが、下手に接触して戦闘にでもなれば厄介なので、敢えて放置している。


 相変わらずダンジョンの奥へ奥へと向かっているが、途中で追っ手をまくのにワザと魔物を残していたが、地味に面倒だったりする。

 仕方ないが魔物と直接戦闘という事態を避けたいがために、桜や椿が魔物を発見すると、俺は言われた方向へ魔法を放つようにしている。

 すると魔物は消え、ドロップアイテムが残る。

 楽だし安全だ。


 因みにここ最近は、1日1層だけ進むようにしている。

 進むというより降りるというべきか。

 他のダンジョンはいざ知らず、このダンジョンは奥へ進む=階段を下りる、つまり下へ下へと向かう事になる。


 ドロップアイテムの中には食べ物もあり、最近ではわざわざ土魔法で土鍋を作り、鍋を満喫している。

 そしてどういう訳か椿が、

《大量に作って、食べ終えればその場へ放置しておいてもいいのですよ。》

 と、謎の提案があった。

「何故に大量に作る必要があるんだ?食べる分だけ作ってしまえばいいじゃないか。」

《沢山作った方が素材に味が染みやすく、美味しくなりますよ?》

 確かに沢山作った方が旨かったりするんだよな。

「まあそういう事なら仕方がない。勿体ない気がしないでもないが、まだまだ沢山食材はあるからな。」

 因みに土鍋は毎回放置だ。

 椿曰く、

《洗う手間も省けますし、残った食べ物は・・・・そのうち消えますから問題ありません。》


 ここはダンジョンだ。

 ダンジョン内で万が一何かを落としてしまえば、直ぐに気が付き回収できればいいが、時間が経ってしまうと回収は不可能だ。

 何せダンジョン内ではある程度時間が経てば、ダンジョン内に放置してあるアイテム等は全て何処かへ消えてしまうのだ。

 洗うのも面倒だし、どうせまた魔法で土鍋を作ればいいし。

 うーん、収納できるし水魔法で洗えるけれどね。

 しかし考えるのは此処までだ。眠い。

 結局何故食べ物も残しておいた方がいいか考えられず、俺は食べ終わった後

 に設置してあったコンテナに入り、速攻で寝た。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 朝食を作り、食べ終えた俺は早速コンテナや調理器具等をストレージから出して使用した色々なアイテムを回収、出発した。

 相変わらず魔法一発で魔物達はドロップアイテムとなってしまうが、いいのだろうかとつくづく思う。

 そろそろ50層らしいが、ここはもう下層と呼ばれる場所だ。

 そう言えば50層前後を攻略中のパーティーがいるって話を以前聞いた事があった気がした。

 俺には関係ないからと気にも留めていなかったが、もしかしてそろそろ出会ったりする?


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先だって1日3話を公開するとお伝えいたしましたが、本日4話目を投下致します。

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