雪と陽の花
七瀬モカᕱ⑅ᕱ
❄️
0
『好きです。私の恋人になってください』
この言葉を言うのに私は多分、一生分の勇気を使ったと思う。でも私の
『他に好きな人がいるから...ごめん』
私にそう言った時の彼の顔は、少し困ったようなそんな顔をしていた。
『そっかー、残念!!んでも言えてすっきりした!聞いてくれてありがとう!ユキくんも頑張ってね!!』
私は笑顔でそう返す。そうすると、ユキくんほっとしたような顔をしてくれた。
でも、私はこの空間が耐えられなかった。本当は、ユキくんに好きな人がいることもを私は知っていた。それでももしかしたら....なんて淡い期待を持って、精一杯伝えてみた。分かりきっていた事だったけれど、やっぱり辛い。十六歳からずっと片思いをしてきて、やっと掴んだ告白のタイミングだった。
『私用事思い出した!!また明日ね!!』
私はそれだけ言って、走って家に帰った。その日は、それこそもう一生分泣いたんじゃないかってくらい泣いた。失恋したときにどうやってこの感情に区切りをつければいいのか分からなかった私は、ただただ泣くことしかできなかった。
✱✱✱
「おはようございます!」
気づけば、失恋した日から二年ほどが経って、私は二十歳になった。私は高校を卒業した後、地元を離れて新しい土地でひとり暮らしを始めた。お花屋さんの仕事にも、この街での生活にもだいぶ慣れてきたと思う。
「あおいちゃんおはよー!今日は忙しいよ!!あ、でもあおいちゃん手際いいから全部任せちゃおっかな♪」
「はーい!......え?!」
こんな感じで、お店の開店前にはいつも二人でケラケラ笑いながら準備をしている。毎日楽しいから、ここに来てからあの悲しい気持ちが戻ってくることも無くなった。
「あれ?今日もしかして私と麻由さんと2人だけですか?」
「ん?あー、テスト期間中らしいから出られる日少ないっぽいよ。なに?日向くん?気になってんの?」
「んや別に....というかなんで日向くん限定.....?そういう話好きなんですか?」
「うん恋バナ大好き♡」
「語尾にハートマーク付けないでください」
さぁ今日も騒がしい一日が始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます