踏んだらあかんで

登魚鮭介

踏んだらあかんで

 ある夏の事。バーバと買い物から帰って、ふと庭を見ると、大きなスイカが出来ていた。

 庭に生ごみをまくので、自然に野菜やフルーツが出来る事が多々あるのだ。


「わー!大きいスイカやなー!収穫してみよか!」

「うん!」


 小さかった僕は、スイカが食べれる事にとても喜んでそう答えた。

 そうして、バーバが庭の中に入り、スイカを収穫しようとした。

 だが、草が生い茂っていて足元がよく見えなかったのだ。


「あかん!草でスイカふんでまうかもしれへん!」

「バーバ絶対、踏んだらあかんで!絶対踏んだらあかんで!」

「大丈夫!バーバに任せとき!」


 そう自信たっぷりとバーバは言った。その時、


 ―――――グシャッ!


「「アッ......」」

「バーバーッ!踏んだらあかんって言ったやん!」

「あー!ごめんごめん!」



 十年後



「っていう事あったよなー」


 バーバとスイカを食べながらそんな思い出を話していた。


「そんな事あったなー!アンタよう覚えてんなー!」

「はあへっほうひょうへひへひあっはひ(まあけっこうしょうげきてきやったし)」

「キャッ!」


 バーバが食べていたスイカを落として、驚いた拍子に踏んでしまった。


「またスイカ踏んどるー」



        ――――――了

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