第8話 リトルカブを12ヶ月点検に出す

 この歳になると、一週間がたつのがあっという間に感じてしまう。歳は取りたくないものだ。


 先週はバイク屋さんで12ヶ月点検の予約を行ったが、今日がその予約日だった。日々の仕事で心身に疲れが残っていたが、ひとまずは朝からリトルカブに乗りバイク屋さんへと向かう。


 途中で少々用事を済ませてバイク屋さんに行くと、いつもの若い店員さんが出迎えてくれる。


「オイル交換などはどうされますか? あと、日頃乗っていて気になるところなどはありますか?」


「オイル交換は2ヶ月ほど前に行っているようなので結構です。今のところ乗っていて気になる部分は特にないのですが、これまでのメンテナンス状況が分からないので点検をよろしくお願いします」


「分かりました。ところで、点検には2時間ほどお時間をいただきますが……」


 まあ、点検に相応の時間が掛かるのは当然だ。ただ、リトルカブでバイク屋さんまで来たので、点検実施中は移動手段が無い。


 店頭に並んでいた売り物のバイクにも興味があったため、店で待たせてもらえるかを聞いてみたところ、返ってきた返事は「では、代車をご用意します」とのことだった。有り難いといえば有り難いのだが、ちょっと想定外の流れ。これってお金は別途かかるのだろうか。


 そう言って若い店員さんは、すぐに一台の茶色い原付スクーターを用意してくれた。ヤマハの「ビーノ」というバイク。うーん、仕事が早い。


 こうして僕はバイク屋さんにリトルカブを預け、代車のビーノにまたがって一旦お店を後にした。せっかくの機会だし、待ち時間の間にビーノを色々と見せてもらおう。

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