怪盗マカロンと揺れるハート

夢月みつき

怪盗マカロンと少年探偵

私は、鈴音すずのねかりん。十五歳の女の子。普段は、普通の中学生だけど。

その昔、怪盗と呼ばれたお祖父様の呪いを解く為に今宵も、その宝石盗ませていただきますッ!



パステルピンクのツインテールをなびかせて、赤くきらめくはルビー色の瞳。

私の名は、“怪盗マカロン”気高き、お祖父様の血を引く者。

さあ、今夜の戦利品は当たりかしら?



ここは、田島財閥の屋敷。警察のおじさん達が宝石、ブルー・アイズを警備している。

私は、物陰からその様子をそっと伺う。

「本当に怪盗マカロンは、来るんでしょうな?」

田島財閥の田島音蔵たじまおんぞう氏が、きょろきょろと辺りを見回しながら。不安そうにしている。

少年探偵の苗野蓮がポケットから、犯行予告を取り出す。


「マカロンは、来ますよ。ここに彼奴きゃつの犯行予告が来ているじゃないですか。」

(今夜、23:00に青い精霊の涙。ブルー・アイズをいただきに参上致します。)

そう、それは私が昨日、田島家に送ったカード。探偵の苗野蓮なえのれんに見つかってしまったけど。

それも、想定内だわ。


「奴は、狙った獲物は逃がさない。しかし、盗んだものは後で必ず、返ってくると言う…。なんなんだ。奴の目的は?」

その時、時計の針が23時を差した。警官達が、ブルー・アイズを警備する中。

邸中の電気が突如消え、皆が騒ぎだす。

しかし、苗野は落ち着き払い、指示を出した。


「警部殿。ライトを付けてください!」

「解った!ライトを付けろ」

安木警部補が合図を送り、一斉にライトが付けられる。

すると、既にブルー・アイズは消えていた。


「探せ、マカロンを探せ―ッ!!」

警部がゲキを飛ばす。


一方、私は物陰ものかげに隠れて、宝石を月の光にかざす、

「う~ん。残念。今日もハズレ!」


その時、苗野蓮が私と鉢合わせした。

「やだっ!みつかっちゃった~」

「マカロンッ!今日こそは。」

苗野が私に走って近づき、腕を引っ張り引き寄せる。

「もうっ、ゴーインッ!女の子には優しくしなきゃ」

私は、苗野蓮の頬にちゅっと音を立てて、キスをした。



「なっ、なななっっ!!?」

苗野の顔が、夕日のように真っ赤に染まる。

その瞬間、腕を掴んでいた力が緩んで、隙が出来た。

苗野の目の前から私は、煙とともに消え去る。


「ちくしょ…今度こそ、捕まえてやる。」

苗野は、上着のポケットの中のブルー・アイズを取り出し、空を見上げた。



-終わり-


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最後までお読みいただきありがとうございます。


企画用の一話完結で書きました。このお話のみになります。

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