第11話 オッチャン張り切る

 カードガチャらしき箱を掘り出した俺達は銀のカード一枚、ノーマルカード二枚、銅貨九枚を持っている。カードには何かわからない絵か模様が描かれていて、つなげて完成できれば何が描かれているか分かると推測する。


「こうなったらこの辺を掘りまくるぞ〜」

 俺は気合いを入れ直してプリンちゃんを見た。


 メアリーアンがプリンちゃんを手放すとプリンちゃんは周りをクンクン嗅ぎ始めた。頼むで〜プリンちゃん!


 プリンちゃんが地面を掘り出したところで俺の出番だ。

 俺はプリンちゃんが掘り出したところをシャベルで掘りまくる。


 銅貨が出てきた。


 見ればプリンちゃんがまた別のところを掘っている。俺は急いでそこを掘り出す。


 メアリーアンはカードガチャに銅貨を投入してまたノーマルカードを取り出した。組み合わせている。もう一枚、もう一枚、銅貨はまだあるし俺がまた掘り出したのでまた二枚増えて、ノーマルカード五枚出しても銅貨八枚残っていた。


 俺とプリンちゃんで次々に銅貨を掘り出してまた銅貨を三枚増えた。

(銀貨なかなか出ないな……)


 メアリーアンがノーマルカードを七枚出した時、あと一枚繋がれば多分完成という状態だったが八枚目でとうとう最後のパーツを引き当てた。


「タケオさん! 揃いましたよ。見てください」

 メアリーアンがそう叫んだ時、プリンちゃんが尻尾を真っ直ぐに立てて地面を激しく掘り始めた。

 マーキングするほどでもないがいつもより良いものが埋まっているかも知れない。


「ちょっと待って、ここだけ掘らせて」


「わかりました〜」

 メアリーアンはちょっとつまらなそうにしたがすぐに出来上がったカードの模様を分析し始めた。


 俺は一生懸命穴を掘った。穴を掘るのは大得意だ。ガツっという感触を感じ、シャベルに先で硬いものを見つけた。石かも知れないが覗き込むと銀色の物が見える。

 周りごと掘り起こして手に取って確かめる。銀貨だ。それも五枚一度にみつかった。(プリンちゃんナイス!)


 グググーー!


 俺の腹が突然なった。夢中で掘っていたので時間の感覚がなかったがもう夕飯の時間を過ぎていたのだ。

(オッチャン、大きな音をメアリーアンちゃんに聞かれて恥ずかしいです)


「ふふふ、お腹、空きましたよね!」

 メアリーアンが微笑む。


「確かに腹が空いていたよやな、夢中で掘っていたから気付かなかった。そろそろ飯にしようか?」


「今、マジックバッグから出して並べますね」

 メアリーアンがテーブルと椅子を出してそこに料理を並べ始めた。


 俺はその間に揃ったカードに何が描かれているのか目を通しておく。


「さあ、食べましょう! タケオさんいらして」


 どうやらマジックバッグの中では時間が経過していない事に気づいたらしくこの場で火を使って調理しなくても暖かい食事が食べられる。


 暖かいご飯と肉料理に野菜料理二品。美味しそうな匂いがして来る。


「ピグー肉のジンジャ焼きとホウレ草のバータソテー、それにキャベジンとモヤのオイストソース炒めです。どうぞ召し上がれ」

(メアリーアンちゃんの笑顔が眩しいで〜、それにバータの香りが美味そうやな〜!)


「いだだきまーす!」

 俺は用意された料理に食いついた。

 メアリーアンもナイフとフォークでお淑やかに食べ始める。

 俺がガツガツと食べる様とはお育ちが違うみたいだ。

(こりゃ良いとこのお嬢に違いないやんか)


 ホウレ草のバータソテーを一口いただく。

(んーーーん。美味い〜! ホウレ草のバータソテーってバータの香りが口に広がって超美味い。こんなの今までに食ったこと無い。ホウレ草とは思えん、なんともお上品な味やんか! オッチャン初めて食うたで〜。アンちゃんはお育ちがよろしいんやな、やっぱり)


「有り合わせで作った料理で御免なさい。今度はもう少しバランスを考えた組み合わせにしますね」


「イヤイヤ、十分! イヤとても美味しいしバランスだって問題ないよ。俺の飯なんて酷いもんだから、アンちゃんの作ったご飯が食べられて幸せさ」


 俺の言葉を聞いてニッコリ微笑むメアリーアンだった。

(可愛いやないかい!)


「ところでタケオさん、揃えたいカードを見ていただけましたか?」


「ああ、さっき見たで。なんかの地図かとも思うとったが訳わからんもんになってもうたなあ」


「そうなんですよ。全く意味不明な模様と言うか? 地図……地図ですか?」

 メアリーアンが首を傾げて考え込む。


「だいたいこう言うのは宝の地図とかとちゃうかなあ……と思いながら掘っとったんよ。見たら全然地図っぽくないもんな。ガッカリしたで」


(オッチャン、自慢じゃないが頭は悪い。こういう頭脳労働はメアリーアンちゃんにまかそうと思うのだった)

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