人生で一番

新堂路務

聞いてくれ

タイトル「人生で一番」


おまえさぁ、一番で一番怖かった事なに?


すぐには出て来ないよな。

俺さぁ、出て来るの。

いやねぇ

修学旅行のトイレ休憩あるじゃん、


そう、高速のサービスエリア。

そこで、大しようとしたの。

そしたら、すんごい腹いたくなって、

個室の中よ、あれさぁ、痛すぎると気を失うのな?

俺、覚えてないのよ。気づいたら、大したままよ。

慌てて、拭いて出たら、誰もいないの。

それが人生で一番?

違う違う、痛みの話じゃないのよ。


サービスエリア真っ暗。

怖いぜぇ、サービスエリアに誰もいないの。


それが人生で一番怖かったのか?

まぁ、怖いっちゃ怖いけどなぁ。


その後よ、トラックが一台来たから、声かけたら、ホテルまで連れてってくれるって。


そう、やさしいだろう?


それで、ホテルにトラックで横付け。


そして、半べそで入ってったら、

同じクラスのやつらが

「よぉ」

みたいな挨拶しかしないのよ。


担任の先生のところ行っても

「夕飯、上手かったな。風呂入れ」

しか言われなかったの。



俺、いない事気づかれてないんだぜ?

先生もクラスメイトも。


俺って何?ってなったよ。

怖かったよ。皆、仲良くしてたじゃん。

いなくてもいいの? ってなったのよ。


うん?

そうだろう、そうだろう。

良くグレなかったって。


まぁなぁ、グレても気付かれなさそうだからよぉ。


#ショートショート

#小説

#独白

#フリー素材

#悲劇は喜劇

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人生で一番 新堂路務 @niseuxenntu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ