第5話 貴方が休んだ日。

「藤咲は今日風邪で休みだ〜」


次の日、先生から告げられた言葉で俺は罪悪感に見舞われる。


(俺が無理に連れ回したからかな…)


そんな事を考え頭を抱えていると、気がついた時には放課後になっていた。


「おい、仁太。お前今日いつにも増してぼけーっとしてたな。なんだ、恋か?恋愛相談なら任しとけ」


「違うよ、ちょっと思うことがあるだけ〜」


「少しいい?」


「えっと…」


見慣れない顔の女子かと思ったが由ちゃんといつも一緒にいる所をよく見かける。

康ちゃんに目線を送るとすぐさま「いってこい」の合図を出され俺はしぶしぶその女子について行く。


彼女がつれて来た場所は物置スペースのある階段下。ここは西棟と言い教室のある東棟と違い文化部の部室が集まる場所。そんな人の居なさそうな場所へと連れて来てどうしようというのか…ハッ!?さては、今日由ちゃんが学校に来なかった理由は昨日一緒に帰った俺が由ちゃんに何かしたと勘違いして…!?こう言う時は…誤解を解がなければ…でもその前に…


「あ、あの命だけは…」


「え、あなた何かしたの?」


「いえ」


「ならいいじゃない。あ〜私がどうしてこんな人気のない場所に貴方を連れて来たか、ね?」


「そ、そうだすね」


テンパって変な口調になってしまった。


「由花にこれを届けて欲しいのよ」


そう言い彼女は俺に持っていたプリントを渡して来た。


「由ちゃんに?」


「そ、私今日も部活だから。貴方、幼馴染なんでしょ?なら任せたわ。あ、それと何故ここに貴方を連れて来たか。貴方目立ちたくないんでしょ?」


「そうだね〜」


彼女は階段を登りながらこちらを振り返り答えを述べる。その言葉を聞き俺は彼女を警戒する。何故警戒したか、彼女がよく俺の事を見ている(・・・・)から。

見下ろされる澄んだ青色の瞳から感じるものは自分の中の全てを暴かんとする意思のようなものを感じた。


「夜巳早伊香(よるみ さいか)私の名前ね」


「槙野仁太。できればもう関わりたくないかな〜」


2人の間で火花が散るような不穏な空気が流れた。


2人が別れた後…


「夜巳さんはじんたんに何の用事だったの?」


階段から上がってくる彼女を待ち伏せしていたかのように上から声をかける。


「それ、貴方が知る必要あるかしら和栗くん?」


「俺はじんたんと藤咲さんの恋路を見守り隊だからね〜」


「なら私は貴方の敵ではないわ。私も彼女たちには幸せになってもらいたいもの」


「あ〜なるほどね。よるみんは言葉足らずなんだ」


「よ、よるみんって何よ!」


また一つ物語が進む。

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