無垢なご馳走
ㅤ今日はみんなでベリーを摘みに行きました。マリベルは熟れた実を見つけるのが上手で、手を真っ赤にして籠いっぱいにベリーを摘んでいましたが、途中で転んでしまったので、そこからはケビンが籠を持ってあげていました。小さな二人が並んでベリーを摘んでいる姿は可愛らしく、微笑ましかったです。
ㅤ午後になると、聖母様へのご挨拶を済ませ、小さな子達は裏庭で遊び、私達は夕餉の準備に取りかかりました。喜ばしいことに、明日、メアリーとメリッサが聖母様の晩餐になるようです。二人ともとても喜んでいました。今晩は、二人のお祝いでした。摘んできたベリーで飲み物やパイを作り、夜通し皆で語り明かしました。
ㅤ今日は晩餐会が開かれました。幸福なメリッサとメアリーに続いて、私にも喜ぶべきことがありました。聖母様に晩餐を用意する担当に選んでいただいたのです。なんと光栄なことなのでしょう。メリッサとメアリーは沐浴をした後に煎じた薬草を飲ませて眠ってもらいました。彼女達の魂が安らかに聖母様と共に在ることができるように、開いた体内に薬草を詰めます。血を抜いて真っ白になった二人の肌は、陶器のように綺麗でした。白い柩の中に二人を横たえて、蓋を閉じ、そのままお湯の中へと沈めます。お祈りをしながら待つ間は、他の皆も合流するのでにぎやかになります。お祈りが終わって柩を引き上げます。蓋を開け、二人の周りに皆で食用花を詰めました。メアリーは白が好きだったので白い花を、メリッサには青い花を。そして、聖母様が好まれる赤い花を。ここまでで調理担当の私の役目は終わりです。
ㅤ柩を運ぶ子達に続いて聖母様の所まで行きました。そして、そして、聖母様にありがとうと頭を撫でていただいたのです。胸のところが温かくなって、幸せな気持ちが満ちました。聖母様のお皿に乗せられる二人を見つめながら、いつか私も、二人と、聖母様と共に在ることのできる日を夢に描きました。
ㅤ今晩はとてもいい夢が見れそうです。
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