第七話 お前、今日から豚小屋な

門に着いた頃には太陽が昇り始めていた。

赤く染まる空。俺の体も真っ赤だ。

ギルドに行く前に、綺麗にしないとな。

浄化魔法を使って、汚れを取っていく。

冒険者であれば、必須と言って良い程便利な魔法だ。

いつもの様に、列に並んで、待機する。

出るのは簡単なんだがな。

今回は、顔見知りの門番がいたので、顔パスだ。

楽でいいな。俺も名を売っていけば、全部顔パスにならんかな。

朝は人の通りが少ない。

理由は、出店が出ていないからだ。

混み始めるには、もう少し陽が出てきたときだ。

ギルドによる前に、宿に戻って、飯を食べよう。

ここで、ブランと一緒に飯を食べないかと誘う。

着くと、朝食の準備をしているのだろうか。

香ばしい匂いが漂っている。

今日のご飯も美味しいの確定!!

さてと、ご飯に誘おうか。

ブランの部屋の前に行きドアを叩く。

「ブラン。朝食を一緒に食べないか?」

向こうから帰ってきたのは、

「いいわよ。私の部屋に持ってくるように手配しておいて」だった。

イヤッホううぅぅぅ!!

成功したぜ!早速受付のところに行って、食事がブランの部屋に来るようにしよう。

階段を下りていく。すると下から騒ぎ声が聞こえた。

「お前が悪いだろ!手ぇ切り落とすぞ!!」

おぉ、物騒だな。荒くれ者に絡まれているのは誰かな~

余裕そうだなって?当たり前だろ。黒月を単独討伐してるんだからな。

肝は据わりまくってる。

「ご、ごめんなさい」

泣きながらスキンヘッドの男に謝っていたのは、十歳くらいの女の子だった。

何があったのかは分からないが、間に入るか。

「朝早くから、大声出すのやめてくれないか?」

女の子の前に入る。

「あ?なんだお前。文句あんのか?」

男が俺の胸倉を掴んできた。

「文句しかねぇよ。どうせお前がいちゃもんつけてるだけだろ」

図星だったのか、男は俺を地面に倒そうしてきた。

しかし、鍛えられた俺の体は、大木の様に、動かなかった。

「舐めやがって!」

腰に差していたナイフを抜き、心臓に刺してきた。

「グハッ,,,」

俺はそのままの勢いで、後ろに倒れた。

痛い。いや、熱い。俺,,,死ぬのか?目の前が霞んできた。

すまん、ブラン。俺はここまでの人間みたいだ。

なんてな。

懐に黒月の銀毛を仕込んでおいて正解だった。

伊達に俺の愛剣を受け止めただけはある。

それにしても,,,うーん。ここからどうしようか。

男は俺を殺したと思っているみたいだし、女の子の方は、死んだと思っているみたいだ。

ま、油断する方が悪いし、先に刃を向けてきたのはあっちだ。すまんなおっちゃん。

ここで死んでくれ。

魔法空間にある剣の出現場所を、男の真上に指定する。

ドンッ!!

轟音と血飛沫が一階を包む。

目の前に半分になった男と、床に突き刺さった剣があった。

「すまん。賠償金はすべて俺が払う」

奥から出てきた店主に言う。

「その必要は無い」

あれ?もしかして命の恩人とかで、許されちゃう感じ!?

やったぜ!!

「お前は今から豚小屋だからな」

ガチャン!牢屋に入れられてしまった。

うせやん。こんなのってないブレじゃん。

あっちの方が悪いやんけ!?

確かに俺もやりすぎたか、なんて思ったよ!?

なんであんな見た目の奴がお偉いさんなんだよ!?

貴族うぜー。てか、絶体絶命ですやん。

DTで死ぬま?勘弁してくれ。

はぁ、助けが来るまで待つか。

でも、企画段階で助けに来る奴、仲間にしとらんやん!!

頼む!神様、仏様、ブラン様!僕のことを助けてください。

ん、待てよ。パーティー登録してるから、アイツも捕まっているか。

笹喰ってる場合じゃねぇ!

早くいかないと、ブランがエロ同人みたいにされてまう!

幸い、魔法遮断の牢屋じゃないから、魔法空間が使えるぜ。

この国のお偉いさんは、魔法空間に武器が入ってないと思ってるからな。

ささっと、脱獄しますか。

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