第98話

駿府に帰還した後、僕は慌ただしく、武器生産についての指示や、アドバイスをして、その後、江戸に向かった。江戸城建設が始まってすでに半年近く経っている。正確には5ヶ月だが。石垣建設はかなり進んでいるそうだ。その様子を早くみたい。それに、実際の建物も造られ始めている。今川家は、城造りを近年沢山やっていたため、製造スピードは非常に早い。一国を代表する城だったら、半年ぐらいで作れるし、何個かの城を同時に建設することも可能だ。江戸城が大きいから時間がかかっているが、既に、屋敷を作ることも始まっているようだ。僕は城造りにあまり関わっていなかったが、このことを勘九郎から聞いた時は驚いた。てっきり二、三年かかるものだと思っていた。まあ地下に構造物を作るし、忍びが入りづらく、制作した。床下には、全くスペースがなかったり、あったとしても20cm毎ぐらいに柱が入っていて小さい針見たいのがあって、非常に入りずらい設計だ。そもそも重要な会話は地下でするための特別な部屋もある。石垣の中に、階段があって、そこを降りると、地下室に行ける。そのような建物は結構あるし、本丸に至っては2個もあって、一個は秘密で一個は誰でも行けるものだ。そこに、重臣たちとの会議をする場所なども形成した。まあこれは予定だけれど、どうなるのか気になる。



僕が、江戸城の建設を行なっている場所に着くと、大量の人足が働いていた。

「勘九郎、様子はどうだ。」

「はっ、まあ順調そのままです。耐震工事も行っています。今までの城とは比べ物にもならない規模で、行っていて楽しいです。」

「それはよかった。それで、工事の進み具合を聞かせてくれ。」

「はっ、完成予定は、今年の8月です。」

「うむ、越前に福井城も作る必要がある。勘九郎、これが終わったらそちらも頼んだぞ。其方は今までと同じような規模で、其方に任せる。予算はまだ決まっていない。」

「はっ、現在は天守閣と本丸の製造に取り組んでいますが、天守閣はもう完成いたしました。しゃちほこもお望み通り取り付けまして、天下の今川家の意向を示したものになります。」

「そうか、あれか?」

僕はでかい建物を指で指した。」

「はっ」

それは、かなりすごくて、白かった。今川家では漆喰ではない、色をつける材料がある。それを使ったら、漆喰の難点は取り除けた。しかし、白い天守は今まで作成した事はなかった。ずっと黒いものだ。防衛上では、そちらの方が良かったが、白の方が良いと考えた。江戸城は基本的に白で作成するつもりだ。それに、後世でも、白い姫路城の方が人気が高いし。やっぱり白い城の方が、外国人ウケは良いのだろう。

「よくやったな、我々の威容を見せつけるに相応しいだろう。それで、本丸は?」

「はっ、地下部分はすでに完成いたしました。また、御殿も、残るは、3階部分のみです。それは良い。」

「はっ、天守には後は、中の工事を少ししまして、完成いたします。本丸はもう少しかかるかと。」

「よくやったな。」

「はっ、また、堀に関しては、全て設置が完了いたしました。土の舗装工事も完了しています。また、畑の設置もいたしまして、4月から作成が可能です。」

「そうか。よくやったな」

「はっ、若殿が命じられた、木も植えているのでかなり中心部は完成が近いかと。残るは石垣と、壁です。壁には穴を開けて、銃などを撃てるように致しています。開け閉めも可能になっています。また、弓矢も一様打てる様にいたしました。そして、銃が拡大しても大丈夫な様に製造しています。更に、既に本丸、二の丸、西の丸などのところをかこう壁と、1番外の壁は完成いたしました。中のものは、入りづらく、トラップなどを作って、位置が分かりづらくなっています。また、ご命令通り、外のものは星形にいたしまして、砲塔の設置もなされています。」

「おお!余もそれは見てきた。これで防護力が上がるな。星形にするようになぜ命じたのかは知っているか?」

「いえ」

「いずれの方向も狙いやすい。星形だと、弱点が減る。死角がなくなる。それ故に、敵を狙いやすい。」

「確かに。だから星のようなのを沢山作られたのですね。」

「そうだ。」

「若殿はすごいです。そのような事は考えていませんでした。」

「ありがとう。それで、二の丸と西の丸はどうだ?」

「はっ、そちらの建設も順調です。まだ、始めたばかりですが、どちらも、一階は完成しています。」

「そうか、それはよかった。これからも励め。」

「はっ、必ずや、立派な城をご覧に入れまする。天下一の城を作成させていただきます。」

「頼んだ。」

「はっ」

江戸城が無事に進んでいるようでよかった。いろいろものを運ぶのを楽にする道具などで、順調に進んでいる様だ。今作っている江戸城は、本来のと比べると、2倍近くあるし、籠城戦にも向いている。倉庫は全て地下に造られたから、夜襲や、爆撃にも対応させたしな。後は、軍事基地を郊外に設置している。城を作るにあたって武蔵の中にあった訓練場の規模を拡大した上で、実際の駐屯地ともした。後詰めをしやすいだろう。まあ詰め城みたいな感じだ。狙われる以上、警備は厳重の方がいいしな。でもその駐屯地って結構遠い、武蔵の中でも田舎で平地にはそこまで近くないけれどなあ。まあ別にいいだろう。









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