第75話

武田との会談を無事に終わらせ、和睦をなんとか飲ませた僕は、長宗我部と会いに行った。

「お初にお目にかかります。今川宰相様」

「長宗我部信濃守、初めてだな。知っていると思うが、今川彦五郎氏真だ。今川宰相と呼ばれている。」

「はっ、単刀直入に聞きます。それで私に会いたいとは何故?」

「長宗我部家は土佐で今最も勢いがある家であり、三好家と敵対している。違いますか。」

「確かにそうですが。三好を嫌っているのは事実ですが、戦って勝つ力はありませぬ。」

「それはわかっている。私の勘に過ぎないが、何年誤解はわからないが、いずれ、天下を二分する戦いが起きる。信用しなくても良い。その時に長宗我部は味方につけておきたい。ただそれだけだ。」

「ほう、あの高名な今川宰相様にそうゆう評価をいただけるとは嬉しいです。しかしながら、何度も言っていますが三好と敵対したら我らは負ける。」

「そうであろうな。三好が今、戦を仕掛けることはない。それで提案だ。もし、私の派閥につくなら、土佐守護になれるように働きかけよう。長宗我部家は土佐守護になるのが夢なのであろう。もちろんその代わり有事の際は三好に付かず、我らに着くこと。」

「とても魅力的な話ですが、我らのような弱小勢力にとっては自分達が生き残ることが重要でして。」

「もし其方が三好の立場で幕府に忠誠を誓っている。更に、将軍の後ろ盾には今川がいる。そこの二つが認めた土佐守護を攻められるか?」

「いいえ、私なら無理です。今川家からの援軍などが来て、謀反人に仕立てられる可能性があるので。」

「それと同じことだ。現在の土佐守護は、確か土佐一条家だったな。挨拶に来ていない。よって謀反と見做して土佐守護職を取り上げることが可能だ。一様、謀反疑惑によって、そなたを臨時守護とすることが私なら可能だ。もちろん、義兄上の許可がある方がいいし、私だと守護職を取り上げることはできないが。」

「ほう。わかりました。今川宰相様の派閥に入ります。その代わり土佐守護の件早急にお願いします。」

「うむ、色々やることがあるし、それにあたって報告が必要だから、その時に頼んでおく。」

「はっ」

長宗我部家との交渉はうまく終わった。あとは義兄上に承認してもらうだけだ。まあ土佐一条家は挨拶にも来ず、実は淡路にいる、謀反を起こした義兄上の従兄弟たちに協力していたという噂もあるし、僕らは、証拠も掴んでいるぐらいだから、義兄上は反対しないだろう。義兄上のことを将軍として認めていない可能性もあるぐらいだし。







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