第36話

僕と父上は父上がいなかった時のことについて話していた。

「父上、各国に軍を置く件ですが、訓練を開始させました。」

「よくやったな。平定した国でも、定員を定めて、募集を開始した。全て、他の領地に準じた。」

「それは良かったです。後伊賀の件ですが、動物の骨から陶器が作れました!」

「なっ!これは凄い。」

「試作品が送られてきましたが明の物にも劣りません。販売をしたらかなり売れるかと。製作数を限り、高級品とする予定です。」

「うむ、よくやったな。これで伊賀も少しマシになるであろう。」

「後、伊賀に用水路を設置して、水が行き届くようにしました。その結果少しは稲の育ちが良くなるかと。」

「うむ、彦五郎はうまくやっているようだな。」

「はっ」

「他には何かあるか?」

「特に重要なことは。しかし裁判などの経験を積めたことは本当に良いことでした。」

「それは良かった。其方もよくやったな。想像以上のことばかりで驚いたわ。軍事産業は全て其方に任せよう。」

「はっ、ありがとうございます。」

「うむ。彦五郎、嫡男として功績を作っているため父は安心だ。家臣からの支持も厚いようだしな。よくやっているな。しかし軍事産業がここまで行くとは予想できなかった。これからも励め」

「はっ」

僕は父上に主なことを報告し終えた。かなり、全てがうまく進んでいて僕は嬉しい。しかしこういう時ほど何か起きるものだ。警戒しなければ。特に今川は有力な諸侯だ。


そこへ驚くような一報が入ってきた。それは三好と細川が交戦して、三好が負けたそうだ。しかし問題は義兄上が中立の立場を取っていたのにも関わらず、細川と細川に着いた六角から、避難されたそうだ。細川に至っては上様に手をかけようとしたところをすんでの所に逃げてことなきことを得たのだとか。しかし、義兄上は近江、朽木谷に逃れた。ただし、六角家の領地が近いため、それも危険だ。それゆえに、今川家に対して自分を受け入れてほしいとの連絡があった。僕的にはお世話になっているので良いと思うが、費用が大変だ。それにここで断ると面倒臭い。しかし六角と細川、特に細川から攻められるだろうし、義兄上の代わりの将軍が立てられる可能性が高い。朝廷も武力に負けて、義兄上を否定するかもしれない。ということはだ、すぐに上洛するべきだ。しかし再編中の軍隊を動かすのは難しい。すでに軍政改革には手をつけ始めている。

「父上はどうと?」

「若殿に任せるとのことです。」

「義兄上に文を書く。」

僕は義兄上に、様々な準備が必要なので1月待ってくれと頼んだ。そしたら受け入れると。もうこうなった以上、急いで再編成をして、美濃から近江六角を攻める。そして義兄上を奉じて上洛するしかない。めんどくさいことになった。もしかしたら僕は戦争に好かれているのかもしれない。平和が好きなのに。

それに義兄上の身が危険だ。伊賀者に護衛させよう。彼等にご褒美を少し与えたいがどうすればいいのか。






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