今川氏真に生まれたので領地を失わないように頑張ります

今川銀杏 旧名:杏

今川家嫡男

龍王丸

第1話

「龍王丸様、大丈夫ですか?龍王丸様、目を覚まされて本当に花はうれしゅうございます。御殿医、太守様と奥方様を読んでまいります」

僕は急に謎の名前で呼ばれて混乱した。僕は確か矢澤健太だったはずだ。その次の瞬間、急に龍王丸としての記憶が流れてきた。どうやら僕は今川義元の息子に転生してしまったみたいだ。そして天然痘で倒れていたとのことだ。現在三歳だ。

「龍王丸!」

「龍王丸本当に良かった!」

「ちちうえ、ははうえ」

僕は父上と母上の元に走ろうとしたが寝込んでいた為か転んでしまった。

「龍王丸、大丈夫か?無理はするではない。其方は元より体が弱いのだ」

「それがしはだいじぃうぶです」

「龍王丸様、少し失礼します。一度診察をさせていただきます」


御殿医がやってきたようだ。僕は御殿医によって脈を測られた。

「太守様、龍王丸様は回復されております。まだ、注意深く見守るべきでしょうが山は超え心配は去ったかと」

「そうか。龍王丸、本当に良かった」


そのまま、僕は父上にたかいたかいをしてもらった。

「きゃっきゃっ」

「はっはっは。龍王丸の回復を祝って今宵は宴だ。重臣たちに龍王丸の回復を知らしめなければな。皆喜ぶに違いなかろう」

「あなた、龍王丸に無理させないでくださいね。病み上がりなのですから」

「もちろんだ。龍王丸は我が嫡男。いずれは駿河、遠江、三河を継ぐのだ。さあ行くぞ」


僕は父に抱き抱えられてどこかの広間に連れて行かれた。そこには多くの重臣がまっていたようで僕は父の膝の上に座っていたけれど途中で疲れて寝てしまった。


そして転生したことがわかってから僕は、意識無かったころより一段と武芸と学問に励んだ。父上はその僕の様子を見て褒めてくれた。ただし結構しょっちゅう寝込んでいたのは辛かった。みんな僕の心配して退屈なんだもん。そしてある日、6歳になった僕は傅役の三浦正俊を連れて駿府の街をお忍びで来ていた。

「龍王丸様、こちらが駿府の街です。とても賑わっているでしょう?」

「はい!」

「太守様のおかげなんですよ」

「父上はすごいのですね!私もいずれ父上みたいになりたいです!」

「太守様は本当に立派なお方です。龍王丸様も太守様を見習い、励み続ければいずれなれますよ。龍王丸様も太守様みたいになれるよう頑張りましょうね」

「はい!父上みたいになれるように励みます!」


僕は街の中を歩いていて気になる人物を見つけた。

「ねえ君、どうしたの?無視しないでよ!ねえ君だよ。なんか眼帯つけている」

「龍王丸様、浮浪者に話しかけるのはやめておいた方が」

「じいは関係ない。私のいうことに口を出さないで」

「はっ、出しゃばりすぎました。申し訳ございませぬ」

「武家様、私はしがない浪人です。今川家に仕えようとしたのですがこの容姿で。門前払いです。それに兵法や戦術を十年諸国で学んだという経歴を信じてもらえなくて」

「ふーん。なんか面白そう。名前は?」

「山本勘助と申します」

「ねえじい、私の家臣にしたい。父上に頼んだら許してくれるかな?」

「それはお答えしかねます。まずは一旦屋敷に戻ってききましょうか」

「うん。勘助も連れていっていいでしょ?ねっ?」

「龍王丸様が申されるのなら」

「やったー!勘助、一緒に行こうか」


山本勘助というと後世では叔父上の家臣で有名だ。僕は滅ぼされないためにも彼を僕の家臣にしたい。だからこそ、父上にねだりに行くことにした。





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