破天荒公爵令嬢の嫁入り
司馬波 風太郎
第1話
「アリアナ・ルビーハート、貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者であるエイデン王子が高らかに宣言する。パーティの会場は王子のその言葉でざわめきに包まれた。
彼の傍らには1人の女性がいた、どうやらあれが彼が私との婚約を破棄して手に入れたい女性らしい。
しかしその宣言を聞いて自分が捨てられた状況を把握しても当事者である私はああ、ついにこの時が来たかと思うだけだった。それどころかむしろ清々しい気分。
嫌々ながらお互いにした婚約だ、どこかでこの人とはこうなる運命だったのだろう。良い機会だ、私としてもこんな面倒な婚約者とおさらばできるならとても嬉しい。
もともと私は結婚をしたくなかった。どちらかというと自由がいい身だ。公爵家の娘として生まれた者としてはきっと恥ずべき考え方なのだろうけどどうしても冒険者をやっていたりするほうが性にあっていた、だから20歳になるまで独り身で過ごして冒険者をやって好き勝手する生活をしていたけど、いい加減身を固めてくれと周りからの圧力で私も折れて、王子との婚約が決まった。たったそれだけの関係だったから未練もない。
なので私は王子に向かってこう言ってやった。
「分かりました、今までお世話になりました。では、これで失礼します。殿下はその側にいらっしゃる女性とどうぞお幸せに」
極めて事務的に王子の言葉に返事をすると私は踵を返して足早にパーティー会場を後にした。こんなところに一秒だっていたくない。さっさと立ち去ろう。
「な、おい! ちょっと待ってくれ! 待て!! アリアナ聞こえないのか!! 王子の命令だぞ!!」
うるさいな、そっちが婚約破棄をしておいて引き止めようとするなよ。そんなふうに後先考えずに振る舞うから皆から馬鹿にされるんでしょう。
後ろから元婚約者のぼんくら王子の情けない声が聞こえてくるが私は無視して歩を進める。
さて晴れて自由の身になったことだし今からなにをしようかということで私の頭の中はいっぱいだった。
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