真実は別腹です

夏目涼

プロローグ 

 角砂糖を2つ入れた珈琲を口に含む。

 やはりこれくらいの糖度がちょうど良いと、思いながら金森真宵かなもりまよいは東京の街並みに目を移す。

数年前から普及し始めた人間型の自動人形が

荷物を運んだり、チラシを配ったり忙しなく動いている。しかし、その目には光はなく、

張り付いた様な笑顔で動くのがやたらと鼻につく。

 そんな事を思っているとコンコンと事務所の扉が鳴る。誰だ人の珈琲たいむを邪魔する様な不届者は、少しイライラしながら扉を開けた。 


「おはよう御座います。先生」

「おはよう。私の助手君」


この天使の名前は金森心かなもりしん私の唯一の助手であり私の生きる糧であり天使であ

り私の情緒をめちゃくちゃにする悪魔でもある


「今日は随分と早い出勤じゃないか」

「先生に会いたかったので」


にこりと微笑みながら即死級の呪文を言い放つやはり、こいつは天使だ。


「朝から嬉しい事を言ってくれるじゃないか

助手く〜ん‼︎そんな事言っちゃうとお姉さんが

本気にしt」

「先生、暑いんで先に入れて下さい」


前言撤回。やっぱりこいつは私の情緒をめちゃくちゃにする悪魔である。しかし、暑いのも

事実なので何も言えないのが悔しい。


「突然ですが、先生ニュースは見ましたか?」

ソファに座った心はいつも持ち歩いてるPCを

操作しながら真宵に聞いた。

「ニュース?見てないが?」


そんな回答に心はやはりと溜息を吐きながら

テレビを付けた。


「昨夜、23時頃有名投資家3名が商業ビルで遺体となって発見されました。

被害者の細井一信ほそいかずのぶさん、田村由香里たむらゆかりさん、

岸井宏祥きしいひろよしさんの計3名がナイフの様な物で刺されている状態で発見され警察は事件性があるとして捜査を進めています」


いつもより早い出勤、謎に印刷される資料

助手君の視線、今きたクソ上司からのメール

テレビで放送されている事件

全て、嫌な予感がする。頼むから当たるなと思

いながら助手君に尋ねる。


「......もしかして仕事?」

「......はい、推理の時間ですよ‼︎先生‼︎」


本当にこう言う時に限って嫌な予感は的中する

物だ。


「絶対に私は行かないぞ‼︎何があっても私はこの席から動かないからな‼︎おいやめろ助手君‼︎

首根っこを掴むな‼︎引きずるな‼︎やめろぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」


 

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