ひとり

鈴乱

第1話


 寂しいなぁ、と思う。


 ひとりで暮らしている時の寂しさと、家族で暮らしている時の孤独。


 どちらが寂しいんだろう。



 夕飯を頬張りながら、なんとなく思う。


 

 自分としてはさ、”みんな”でご飯が食べたいんだよ。


 みんなで、楽しく歓談しながら、ご飯が食べたい。


 それはさぁ、ずっと昔からの小さな夢でさ。


 ……なのに、こんな小さな夢を叶えるのがこんなにも難しい、なんて。



 何十年も思ってきたのにな。


 何十年も願ってきた。



 勇気を奮い立たせて、伝えてみたこともある。



 私はさー、家族でご飯が食べたくて。


 会話なんてなくてもいいんだ。


 ただ、同じテーブルを囲んでご飯が食べられたらなぁって、そう思うんだ。



 同じ空間を、共有したい。

 同じ空気を共に味わいたい。


 仲間に、入れて欲しい。




 ……もう、遅すぎるのかな。


 遅すぎちゃったのかな。



 ただ、私は、「家族」に憧れてただけなんだよ。


 みんなで囲む食卓にさ。



 それを叶えたくて、私の夢はどんどん大きくなっていった。


 それだけ、なのにな。

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ひとり 鈴乱 @sorazome

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