コミュ力よわよわで友達ができない私、とうとうカラスにまでなめられる【G‘sこえけん応募作品】
@yorimitiyurari
第1話 イキりザコミュ症VSカラス
「や、やんのですかぁ? やんのですかぁ!?」
カア―! カアア!!
「き、昨日のようにかかってくるがいいです! 今日こそ、私は遅刻を回避してみせるのでぁあああああごめんなさいごめんなさい!!」
ガア!! ガアーー!!
バサバサバサバサ!
黒い羽が舞い散り、くちばしと脚が痛い痛い痛い!
「たしゅけて! 誰かたしゅけてくださーーーい!! いたたたいだだだだだ!! ひぃいんん!?」
お父さんお母さん、先立つ不孝をお許しください……。
カアーー!?
「
「だ、誰でしゅか?」
鼻水と涙で濡れる顔をあげる。
私と同じ高校の学生服を着た女の子が、学生カバンをはたきながらチェシャ猫のように笑っていた。
「おはよう。今朝もいい負けっぷりだったわよ柊さん?」
「ね、
私は後ずさった。
転校生の
容姿端麗で頭脳明晰、運動神経もよくて、転校初日からクラスメイトの注目の的。
みんなから声を掛けられ、会話を求められていると言うのに、彼女はことごとくそれを無視して、教室の空気と一体化していた私のところへきた。
『私、あなたに興味があるの。お友達になってくれない?』
クラスメイトの半分はその瞬間に猫野さんへの興味を失い、もう半分は彼女に変人の烙印を押した。
私だってそう思う。
何故教室の隅で一人縮こまっているようなコミュニケーション弱者をわざわざ一人目のお友達に選ぼうとするのか。
ウサギが仲間のもとを去り地中のモグラと交流を築こうとしているようなものだ。
絶対におかしい。
「なによ変人を見るような目で見上げて。それとも見惚れちゃった? 友達から一歩恋人にクラスチェンジしてみちゃう?」
耳元で囁かれて、私は飛び退く。
「い、いい、いけませんです! わ、私みたいなのと付き合ったら猫野さんがかわいそうです! お断りします!!」
あと、ちょっと猫野さんが怖いのもある。
「律儀なお返事ありがと。残念ね。……それよりもいいの? もう少しで8時30分だけど」
「ああ! も、もうそんな時間に! なんで猫野さんはそんな悠長な……??」
同じ遅刻仲間のはずなのに、解せぬ。
「私は別に遅刻を気にしてないからかしら。柊さんと一緒なら楽しいわ」
……やっぱりこの人、変人だ。
「も、もう、走らないと間に合わないです……よ?」
バサバサバサバサ!
カーカー!! ガア! カァカァ!!
頭上の電線にこれでもかと大量のカラスが止まって、一斉に私を見た。
「ひぃい! なんで! どうしてこんにゃにぃ? さっき謝ったじゃないですかぁ!!」
追い払ったのは猫野さんなのになんでこっち見るの!
「あららぁ~、柊さん前世でカラスに何か恨まれるようなことでもしたの?」
バサバサバサバサバサバサ!
「し、しししてないですよ! ……たぶん。ああ、こっちきたァ!! たしゅけてぇええええええ!!」
「いい悲鳴ね柊さん。うふふふ、もっと聞かせて?」
並走して囁いてくるよぉ! 何考えてるかわからない! 怖い、怖いよぉ!
「ね、猫野さんのばかぁああああ!!」
カアーー!!
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