第7話
その後、演劇部や生徒会長を差し置いてまず最初に聞き込みに行くべき新聞部がこの学校には存在しないため、資料を求めに図書室へ向かった。
さすがに、それなりの常識がある優津は図書室ではだいぶ小声で話してくれたが、ここでも司書さんから毎年来るんだよね的な発言に絶叫。
他に生徒が居なかったから良いものの、当分利用は避けたいくらい恥ずかしい目に遭わされた。
学校行事の部類で、創立から去年までの祭事の際に印刷されたパンフレットが収集されていた。
もちろん劇のパンフレットも、だ。
一冊づつ見るのは面倒くさいので、俺は創立の物を手にとった。
劇の映像もあるようで、司書さんにお願いすれば観せてもらえるそうだ。
だが、劇の映像を観たところで答えは出ないだろう。
勿論あの劇を観たい気持ちがあったが、今は優津の欲望に付き合うのが優先だ。
優津はすでに別のものに興味を示したらしく居ない。
古めかしい字体に文章も回りくどい、というかしゃちこばってる。
写真はないかとぱらぱら捲る。
「たねうまー見取り図もらってきたー」
こびとのように優津が腕の中から顔を出してきた。
俺がノミの心臓だったら死んでるってくらい驚いた。
リアクションは殺したけど。
しかもずばっと言いながら白い紙を広げられる。
両手を横にやり急接近から逃れ、こんなことも慣れっこなので放っておくが、
「…見取り図?」
どうして必要なんだろうか、見取り図が。
突拍子もない優津の思考には、すぐには追いつかない。
追いつきたくない。
「なんか毎年コピーくれって生徒が言うから、用意してあるって言うから司書さんが」
毎年、貴婦人の正体を探りにくる連中がいる。
図書室に来るのも上策だ。
でも、なぜ見取り図?
「なんでーって聞いたら、出入り口はひとつじゃないかもって思う奴がいるからだってさ」
A3サイズの用紙に別館の見取り図をコピーしてもらった優津は、小さな声で訴える。
小声だと元気ないみたいで不安になる。
大声に慣れすぎだな、俺は。
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