自分のこと『お姉ちゃん』とか言って絡んでくんな
赤茄子橄
第1話 無敵の姉(他人)
「ねぇ
イラッ。
「..................」
「ねぇえ〜、ぶすっとしてるのも可愛いけどさぁ。いつまでも黙ってないで私に甘えてよぉ〜。かまってよぉ〜、そろそろ無視するのやめてよぉ」
イライラッ。
「....................................」
「あ、もしかして! 私に告白しようと思ってるけどなかなか勇気がでなくて悩んでるの?」
イライライラッ!
「......................................................」
「そっかそっかぁ。やぁん、可愛いなぁもぉ。でもそれなら何の心配もないからね! 理真からの告白なら、私、いつでも受け入れるからね! だからほらっ、カモン告白!」
イライライライラッ!!!!
「........................................................................」
「シクシク。
ぶちっ。
「だから!!!! 何回も、何回も何回も何回も何回も何回も言ってんだろ!!!!! その姉ヅラがうざいんだって!!!!!」
「あっ、やっと話してくれた! んもぅ、恥ずかしいからって強い言葉で誤魔化しちゃって......。そういうとこも可愛いけどさぁ。あんまりムキになって強がってると後で後悔しちゃうよ? 私が他の男に盗られちゃって、『あぁあのときお姉ちゃんのバージン奪っとけばよかった。あのとき俺が素直に告白してれば......っ』ってね」
相変わらずこのマジキチ女、無敵すぎる。
俺がマジのガチで心の底から嫌悪して、ここしばらくは無視を貫いてたってのに、一切動じてない。どころか俺の反応を脳内で都合のいいようにポジティブ変換してやがる。キモすぎる。
もうストレスがやばい。限界だわ。ここのところずっと蕁麻疹おさまらないし。
ずっと無視してればいい加減どっか行くだろって甘く考えてたけど、この無敵のイカレ女には消極的な対応じゃだめか。
めちゃくちゃ業腹だし、言葉を交わすのも嫌だけど、俺の正しい青春のためにも、ここらで改めて積極的に縁を切らせてもらわないとな。
「頼むから消えてくれ。まじでキショいから」
「うーん、強情だなぁ。まぁ男の子だし、そういうお年頃なのかなぁ。でも、ふふっ、私を傷つけること言っちゃって心の中で既に後悔してることくらい、お姉ちゃんはちゃぁんとわかってるから、心配しなくていいからね。それに、後で後悔するよとか言ったけど、大丈夫。お姉ちゃんは一生、理真だけのお姉ちゃんだから」
なんでこんなにメンタルが強いんだよ。鋼どころの騒ぎじゃねぇぞ。オリハルコン、アダマンタイト、ミスリルとかそういう伝説級の金属並みに硬いメンタル強者じゃねぇか。
昔はこんなんじゃなかったのに。
「はぁ。本気で頼むから消え失せてくれ。あんたのイカレた家族もろとも」
「強がりさんも可愛いけど、お姉ちゃん、そろそろ本音が聞きたいなぁ〜」
ぶちぶちっ!!!
「いい加減にしろっつってんだろ! アンタは俺の姉じゃねぇ!!! 何が『理真だけのお姉ちゃん』だよ。血は繋がってないし、俺とアンタは赤の他人なんだよ! しかもアンタのホントの兄弟姉妹はあのイカレた家に10人もいるだろうがよ! 妹と弟だけで6人もいるじゃねぇか! 俺に付き纏ってないでリアルの妹と弟の世話してろよ!」
「ありゃ、もしかして私と血が繋がってないことを気にしてたの? 妹たちに嫉妬しちゃってた? えへっ、か〜わいっ! でも血が繋がってないからこそ、私達は結ばれることができるんだよ。良かったねぇ、理真」
無視を止めて喋ったのが間違いだった。
こんなクソみたいな脳内変換をされるとか。
やっぱり口は災いの元だ。沈黙は金。
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