第3-4章 独立戦線〜傾国の美女による革命計画〜
第57話
エルフ公国の
そして、力量測定として呪いをかけた本人の調査を行って実力を測ったのだが、驚くべき内容だった。
「君さぁ……弱すぎるよねぇ……」
「ひ、ひぃぃ!!ごめんなさいぃぃ!!!!」
僕の目の前にいる腰を抜かしているこのエルフこそが、ニンファに呪いをかけた張本人である。
呪いの腕はそこそこだが、
「それで? なんでニンファに呪いをかけた」
「だ、だって……エルフのくせに人間の国にいるし、黒髪で汚れた血のくせにモテモテだって聞いたから……わた、私が、天罰を下してやろうと……」
「なんで
涙を流して怯えるコイツに呪いを無理やり解かせた後、呪いを封じる呪いをかけておいた。
無事に解決ができたのだが……なんというか、正直言って拍子抜けだ。
傭兵のエルフたちにコイツは連れて行ってもらい、僕は部屋を後にしてルクスとロブストさんと合流する。
「一件落着ですね、アスミちゃん☆」
「しかし……どうするのだ、アスミ殿」
「どうするって?」
「いや……。もしやこのまま国を出るつもりないだろうな。こんなに荒らしておいて」
「…………。だよねぇ……」
城下町にいる女の子の約9.9割……まぁ、ほぼ100%の女の子を堕とし、貴族や王女様までも手中に収めてしまった。
この落とし前はどうやってつけようか……。正直言って、めちゃくちゃ面倒くさい。無駄に作戦を練らずに脳死で突っ込めばよかったぁ……!
「……まぁ、まだ帰るには早いしゆっくり考えようよ。取り敢えずお腹すいたからご飯行こ」
「賛成です、行きましょう!」
「呑気なものだな……」
失礼だなロブストさん。僕なりに悩んでいるというのに……。
「……あ、そうだ。一応王女様には報告しとくから先に外に出といてくれ」
「承知した」
「わかりました」
ズボンのポケットに手を突っ込みながら長い廊下を歩き、王女の間に向かう。
顔パスでそこに入ることができ、玉座には昨日散々鳴いていた女王様がいた。乱れた服や髪は一切なく、完全無欠の姿だ。
「なっ!? こ、今度は何の用よアスミ……」
「そう警戒しないでくださいよ女王様。用事が済んだので一応報告しておこうと思いましてね」
「あ、そ、そうなのね……。もう終わっちゃったの……」
「…………」
王女様は建前上では僕のことを嫌いな雰囲気を醸し出しているが、たまに綻んでボロが出る。王女の権力を使っていないだけマシだろうがな。
はぁ……ヤらなきゃよかった。
「一応まだ残るつもりですよ」
「そ、そうなのね! ふふ、一刻も早く出て欲しいけど、どうしてもと言うのならば特別にこの私が許してあげるわっ!!!」
「……どうも」
幸せオーラを全開にする王女様から逃げるようにこの場を後にした。
###
二人と城を後にし、街へ繰り出した。
……のだが……。
「アスミ様よ!」
「どうか私の店に寄ってください!」
「うへ、ウヘヘ……やっぱ美人……」
「癒されるぅ」
「アスミ様なしじゃもう生きれないかも……」
外に出ただけでこの始末だ。
笑顔を取り繕って手を振ったりするが、本当にどうしようかと悩んでいる。
人混みをかき分けてなんとか飲食店まで行き、ようやく椅子に座ることができた。思わず深いため息が溢れる。
「ハッハッハッ! モテる女は大変だな、アスミ殿」
「他人事だからと言って調子に乗ってるな」
「自分が招いたものですよ、アスミちゃん」
「その通りだけどねぇ……」
おそらくこのまま何もせずにいたらエルフ公国は政治がままならなくなり、滅びて行くだろう。
……そう、僕は〝傾国の美女〟になりかけているのだ。
(自分が蒔いた種だし、なんとかしなきゃな……)
もう一度、深いため息を吐いた。
[あとがき]
アスミが責任から逃れるために行動をする章です。応援しましょう()。
???「逃げるなァァ!! 責任から逃げるなァァ!!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます