スワイプ
燈と皆
第1話 スワイプ
スマホをスワイプしてトクッと音をさせると、夏が薄れた画面が、弱まる蝉の声より先に夏の終わりを告げた。スワイプする必要も無い程しか無い写真の数に「楽しかったなあ」なんて皮肉を言ってみた。緩い風がふわっと吹き抜けて、黒い雲から垂れた水滴が画面に張り付く。次の夏を想えば、私の夏は終わらない、そんな事を思いながら水滴を指で拭き取った。人肌のように緩いその水滴は、私の指に染み込んだ様にすっと消えた。
通り雨みたいに少しも留まらずに去った彼の事を、夕暮れに舞う涼しさがすっと紛らわしてくれる。
スワイプ 燈と皆 @Akari-to-minna
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