第3話「沈黙愛好家って呼んでください!」

数か月後


母校にアポ無しで遊びにきた卒業生  私には夢があります。それはいつの日か、元男性の娘達と元女性の息子達が一緒の便所で用を足せるようになるという夢です


あず  (教室の喧騒をよそに)先輩の話、わけわからないわ


なぎさ  だね。流石はOBGって感じ


あず  OBGって何


なぎさ  さあ


あず  あなたが言ったことでしょうに


なぎさ  でも、人って自分の言ってることそんなに深く理解してないよね


あず  それを今あなたが言うの?


なぎさ  じゃ、もっと場違いなこと言っていい?


あず  ……どうぞ


なぎさ  今朝学校に来る時にね、蜘蛛の糸が何回も腕に引っ付いてきて、その度に切ることになったけど、あれを思い出したんだ、ほらゴールテープ


あず  あんまり似てないような


なぎさ  確かにね、粘ついてるし。でも、これ以上歩くな、足を止めろ、って言われたような気になって


あず  止まってたら遅刻じゃん


なぎさ  それに、一緒にいる時間も短くなってた


あず  ……


なぎさ  ほう、久しぶりだね、むっつりちゃん


あず  沈黙愛好家って呼んでください!

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