歪なメビウスの輪の中で

乾杯野郎

第1話


「今回は助かったよ、ありがとうね、僕にはそのツテがなかったからさ」

海辺にある別荘の持ち主が会食している相手のスーツの男に言った

「いえいえ、お役に立てて何よりですよ、社長」

男は満更でも無い様子で受け答え

「ただ…社長?あんなもの何に使うんです?」


「…そんな事聞いてどうするの?」


「いや、またウチも噛ませて頂きたいんですよ…社長はここのパイプをお持ちでは無いでしょう?」


「ーーん…ちゃんと人の話聞いてた?僕「今回は」って言ったよね?て事は次回からこのツテ使うなら自分でやるよって意味だよ。向こうの連中と話がついてるんだ」


スーツの男のフォークの手が止まった


「…ウチ抜きでやると言う事でしょうか?そんな事できるもんな…」


「聞いてるよ、君だいぶ中抜きしてたね、向こうも僕に感謝していたよ。これから抜かれなくて済むってね」


「…!まさかお前の目的は…俺から全部奪う事?!」


「せいかーい!君の顧客もツテも僕が全部もらったよ」


「ふざけんなよ!成り上がりのクセに!」

スーツの男が銃を抜き構えた


「おー怖…」

銃を向けられた男はプロジェクターのリモコンを操作して画面を表示させた


「…お前?!これ?!」


映し出された画面には歳のいった夫婦が猿轡、手錠をはめられ椅子に座らされていてこめかみに銃を突きつけられて2人とも懇願するように泣きじゃくっていた


「君はこんな因果な商売しているのに家族がいるんだねぇ…歳のいったご両親だ…僕の部下が24時間体制で監視している、まぁ何も無い事を祈りたいねぇ〜」


「…てめぇ!汚ぇやり口だな!成り上がりが!おい!誰か!」


ドン!


男の合図に屋敷の使用人と思われる人間がドアを開け何かの塊をスーツの男の足元に投げ


「……?!」

その塊は切断されていた成人男性の肘から手の部分だった


「手なら貸そうか?ハハ!君の連れは今頃崖の下だよ。呼んでも誰も来ないさ。君の言う通り僕は成り上がり、だから手段なんて選べない訳よ」


バァン!バァン!


そう言うと屋敷の主も机の下から拳銃を抜き男に発砲し


「…ウグッ!この野郎!」


パァンパァンパァン!

左肩に被弾したスーツの男も撃ち返したが屋敷の使用人も撃ち返してきた

スーツの男はバルコニーに続く大きな窓近くの家具に隠れた


「クソ!」


「さぁどうする?!続けるかい?!」


「……思い通りになってたまるか!」


パァンパァンパァン!バリーン!


そう言うと同時にスーツの男は大きな窓に向かって発砲、窓ガラスが割れそのままバルコニーに出て崖下の海へ飛び込んだ


主の手下が慌てて追いかけると


「諦めないって凄いねぇこの高さだよ?、どうせ生きちゃいないからほっといていいよ。…気の毒だけどあの両親も後始末お願いね、あとアイツの親族全員だ、下手に恨まれても困るしね…窓ガラス直しておいてね〜。成り上がりだなんていつも小馬鹿にしやがって…いい気味だ、アハハ」


そういい主は部屋を後にした



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


新谷町の有名大学の先にある回転展望フロアが有名なリューカールトンホテルの別館24階、その日は関東の裏社会を仕切る超大物「小谷 勝長」が直々にPeace Cp代表との会食をしていた。

小谷は統一戦争終結後の混乱時に既存勢力を駆逐しあっという間に様々な傘下を作り関東の裏社会を制し覇者となる

小谷自身が天才的頭脳と先見の明、カリスマを備えているというのが理由だが小谷はとてつもなく強運の持ち主だった

まだ頭角出す前の小谷が松田に



「お前は用立て屋だろ?俺は武器と情報が欲しい、お前は取引の実績が欲しい、お互いwin-winだろ?お前の実績作りの為に俺が暴れてやる。いい宣伝だろ、…何?俺が死んだら?負けるなんて俺には有り得ねぇよ、俺がお前に利用され続ける限りな!アッハハハ!」



松田はこの物怖じしない態度、相手を飲む交渉の仕方が気に入り会ったその日から意気投合し小谷を全面的にバックアップしていた




「お前とも長ぇ付き合いだな」

「そうだね、正直ここまでやるとは思ってなかったよ」

「だろ?」

「だろ?って…相変わらずだな、君は。しかし…まぁ随分と付き人と言うか…色々増えたねぇ、その人達にも食事をぐらいさせてあげなよ」

小谷は自身の護衛と直参幹部、それに幹部とその部下を従えていた

「ああん?こいつらはいいんだ、特にこの馬鹿メス犬が!」

小谷が近くにあった酒の入ったグラスをメス犬と呼んだ女に投げつけたが当たる直前に反射的に避けてしまい壁に当たったグラスと酒が飛び散った

「お怪我ございませんか?」

松田の後ろにいた弟村がすぐに駆け寄り声をかけた

「ご心配なく…ありがとうございます」

女がそう返すと

「てめぇ!誰が避けていいって言ったんだ!このクソアマ!」

小谷が席を立ち上がろうとした時

「小谷さん、こちら松田からの心ばかりです、ご賞味ください」

そう名城が配膳したのは特大伊勢海老のお造りだった

「おぉ!戦勝祝いか!洒落てるなぁ!」

「武本を殲滅した小谷君へ僕からのお祝い、君は海老好きでしょ?」

「おぉ、俺の好みをわかってるな!お前のそういう所好きだぜ」

「ねぇ僕が奢るからさ?小谷君の部下にもご飯食べさせてあげてよ、椿ちゃん、弟村君案内よろしく」

「おい!啓ちゃん!勝手に決めん…」

「いいからいいから、ほら早く」

「承知しました」

名城は松田に一礼し弟村が

「さぁ、ご案内致しますのでこちらの部屋へどうぞ」

名城と弟村の2人が案内し個室には小谷と松田2人だけになった

「なんだぁ?人払いして欲しいなら言えよ」

「君の悪い癖だよ露骨にやるのは、いつか反感食らうよ?」

「ハハ!俺に弓引くってか?!そんな奴いねぇよ」

小谷は伊勢海老にかぶりつきながら答えた

「それにさっきグラス投げつけたりしたろう?僕の前であれだ、組織内ではもっとしてるだろう?さっきの彼女は前髪で片目を隠してたけど何したのよ?やめようよバイオレンスは」

松田は刺し盛りも食べながら言った

「いいんだよ、あれはあれで」

「明莉 光美って言ったけっけ?彼女?だいぶ前から君が目をかけてじゃないか」

「アイツは優秀だ、それもどびきり優秀だからこそ少し雑に扱わないとな」

「へぇ〜そんなにかい?」

「あぁ元々は北関東を仕切っていた爺ィの繋ぎ役でな、老い先短いクソジジイの繋ぎ役だけでは勿体ない器量と度胸もあるから俺が動き易くする為に直々にスカウトしたんだ。アイツを北関東の田舎でくすぶらせるのは損だからな、腕っ節はまぁまぁだが頭がとにかくキレる、人の先を読んで行動し脅しが上手い。外様共下の組織からウチの直参の柴山、丹野、明莉、滝の四天王なんて言われてるよ。明莉は良く言えば官僚みてぇな奴だ」

「へぇ〜四天王?凄いなぁ」

「あぁ、でもなぁ…四天王なんて言われてるが実の所は…俺に万が一の事があったら…明莉か羽村…もしくは俺に協力してる徳宮組だろう跡目取るのは」

ワインを飲み干し小谷はため息をつきながら言った

「なのにあの扱いかい明莉は?それに羽村って…?」

グラスにワインを注ぎながら松田が言った

「あぁ啓ちゃんは知らないか、羽村は実働隊でな官僚気質の明莉とは真逆だ、羽村はスラムみてぇな所の愚連隊の下っ端だったんだがいつの間にかウチにいたんだ、とにかく人にモテるんだよ、男にも女にも、人のチカラを自分の力にして行使するのが抜群に上手い、それより羽村が1番優れているのは金の使い方を心得てる、それこそ下品なくらいだ。だが欠点があってな、ウチの柴山や丹野とウマが合わないのはいいが…いつもニコニコしてるくせに欲が深いんだよ、この明莉と羽村は対局で面白いんだ」

「対局?」

「明莉は欲がない、羽村は欲が凄い、足して2で割るくらいが丁度いい。徳宮はもう少し経験を積んだらいずれ化けるぞ、」

「徳宮?」

「俺が駆け出しの頃に今藤の所を潰したろ?元々はそこの傘下でな、今藤組の跡目に納得がいかず独立したは良いが当時の徳宮は敵だらけでな〜それで盃かわした弟みてぇなもんだ」

「徳宮君てのも君の所に入れちゃえばいいのに」

「わかってねぇな啓ちゃん、俺は全部は要らねぇの。俺が全部決めなきゃならねぇじゃん、そんなめんどくせぇ事したくねぇ」

「ふーん…話は戻るけどなんで明莉君にそんなにキツく当たるんだい?」

「…ふーーーー…今関西の連中とやり合う準備で羽村に色々当たらせてる、その前に周辺を仕切ってる連中を手なずけたくてな、明莉に交渉させたが頓挫したんだ、そこまではいいが会議の時俺に意見しやがってな、頭きたからシマ全部取り上げた」

「ちょっと…やり過ぎじゃない?」

「わざとだよ、アイツは挫折を知らない、挫折を知らない奴は大成しないからな。まぁそのうちゃんとシマもやる。とりあえず羽村の野郎が応援要請してきたからさ、静岡の別宅によって明莉達と羽村の援護に行く」

「君は相変わらず現場に行くんだねぇ〜人ゾロゾロ引き連れて」

「デカくなると仕方ねぇのよ、むしろ啓ちゃんの方が俺からしたら不思議だわ。なんであのべっぴんと男前だけなんだ?もっと人使えよ」

「僕は小谷君と違って少数精鋭でいいの」

「お前も充分変わってるよ、そうだ…信用してる啓ちゃんにだけ言っとく」

「なんだよ改まって」

「真面目に聞け、啓ちゃんも言ってるだろう?「人は何をしても死ぬ時は死ぬ」って、組織もデカくなったが俺もいつ狙われて死ぬかわからんから啓ちゃんも気をつけろよ」

「わかったよ、でもそうならないように情報は渡す、ツケでいいよそういうのは」

「おう、俺が死ぬとお前の食い扶持が減るからな!しばらくは儲けさせてやるよ」

そういい2人はグラスを合わせた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


会食は終わり別室から明莉達が名城、弟村の案内で小谷のいる部屋に入ってきた


「小谷さん、お心遣いありがとうございました」

深々と小谷に明莉はお辞儀をしそれにならい明莉の部下達も頭を下げた

「ありがとうございました!」

「馬鹿か、お前ら。お前らの分は全部啓ちゃんの奢りだ。啓ちゃんにちゃんとお礼を言え」

口を拭きながら小谷が言った

「やめてよ、別にいいから」

「松田さん、ウチの部下にまでご馳走様でした」

明莉が松田にお辞儀をした

「明莉ちゃんだっけ?大変だろうけど…でも頑張って!必要な物なら僕に言ってね、小谷君の連れだから安くするよ」

松田が右手を差し出したがその手をじっと見つめ

「何か入用になったら自分でなんとかします、松田さんは小谷さんのお連れ様ですから。小谷さん通さないで取引なんかしたら…」

「こらぁ!光美!余計な事言ってんじゃねぇ!帰るぞ。啓ちゃん、今度は静岡の別宅に来てくれや!気に入るぞ〜」

「あぁ楽しみにしてるよ、またね!小谷君」

「おぅ!またな!」

そういい小谷達は料理屋から出ていった



少し歩きエレベーターホールで明莉が

「小谷さん、申し訳ないのですが私、少しこの後予定が…」



バチン!

小谷の平手が明莉の左頬を捉えた



「あぁん?俺が帰るって言ってんだ、てめぇそれでも口答えすんのか!!」

「すみません…すみません…兄が地方から急に出てくるとの事でここのホテルのケーキを買って帰りたくて…申し訳ございません、ご指摘通り小谷さ…」

「…ったく…そうならそう言え」

小谷は言い終わると財布ごと明莉に渡した

「ちゃんと良いもん買ってやれ、今日は戻らんでいい」

「はい、ありがとうございました。あとの事は前野さん、佐木さんにお願いしてあります」

「おぉ、積もる話もあるだろうゆっくりして飯でも食ってこい、明日からまた俺の為に死ぬ気で働け」

「ありがとうございます」

そうして小谷達とは別々のエレベーターに乗った




「ふーーーー」

大きなため息をつき松田は椅子に座った

「社長、お疲れ様です」

名城が頭を下げた後松田の肩をマッサージ

「しかし小谷さんは凄いですね、相変わらず」

弟村も気が抜けたようでネクタイを緩めながら言った

「前はもっと凄かったんよ、もう年がら年中生命を狙われててね、ねー?椿ちゃん」

「そうですね、社長と初めて会ってからしばらくは穏便に商談できなかったですもんね」

「え?そんなに?てか社長全然食べてないじゃないですか」

弟村は松田が残した食事をまじまじと見た

「小谷君のペース早いから、それに商談だしね、僕の場合は」

「今回は資金洗浄ですか?」

「うん、小谷君はまだまだ金がいる、いつでも使えるようにしておかないとね…さて…椿ちゃん、何か次のオークションって近々にある?」

「少々お待ちを…近いうちですと…2週間後に開催予定ですね、リザーブしておきますか?」

タブレットを操作しながら受け答えした

「うん、頼むよ椿ちゃん」

「承知しました」

名城がタブレットを操作している時

「なんでそこまで社長は小谷さんに援助してるんです?」

「うーーーん…ある程度裏社会をまとめてもらった方が他所からの奴らが入り込めなくなるからね、それと…小谷君と初めて会った当時の今藤組は大きくてね、情報、武器はできる限り用意したけど如何せん頭数が足りなかった、なのに小谷君は今藤を倒したんだよ。あれには驚いた。それで賭けてみようかなと、金払いもいいしね」

「へぇ〜凄いっすね、小谷さんて。そういや社長お腹空きません?バーガー食べませんか?」

弟村がニヤニヤしながらスマホの画面を見せた

「おぉ!ここ美味そう!行こうよ!ほらほら!」

「そこ、スィーツはありますか?」

タブレット片手に名城が尋ねた

「ここのキャッスルアイスサンデーは凄いですよ」

弟村の返答に名城は小さくガッツポーズ

3人が店を後にしエレベーターで地下駐車場入口に行く途中に向かいから来た男とすれ違いそうになったが松田は肩がぶつかってしまい男が持っていたカバンが落ちてしまった。

「申し訳ない、大丈夫?」

松田がカバンを拾って手渡すと男は

「こちらこそ申し訳ない、考え事を…もしかして…松田社長?」

「えっ…?あぁ、こんな所で会うなんて奇遇だね!」

「奇遇ですね、それに日本で会うとは思いませんでしたよ」

「そうだねぇ、最後に会ったのはどこだったかな…」

「松田社長は相変わらずお忙しそうですね。すみません、私実は人と待ち合わせをしていまして少し急いでいまして…ぶつかってすみませんでした」

「僕の方こそごめんね、そう言えば君から名刺貰ってたかな?申し訳ないけどもう1枚貰えるかい?食事でも行こうよ」

「すみません、今日はプライベートですので持ち合わせていないんです」

「…そっか…残念、でもこうやって久しぶりに会えたんだ。これ、僕の名刺」

松田が右手で名刺を差し出すとスーツの男は顔を一瞬見て名刺を受け取った

「松田さんは最近拠点を日本に?」

「そういう訳ではないんだけど、最近は日本に居ることが多くてね、東京にいる時はクライトンベイホテルを使ってるんだ」

「そうですか…再会も何かのご縁ですので何かありましたご連絡させて頂きます、それでは、失礼」


そう言い男はエレベーターへ向かって行った



3人は車に乗り込み弟村が車を発進させ地下駐車場を出た

ミラー越しに弟村が

「さっきの人誰なんです?」

「え?あー…わかんない」

「はぁ?」

「失礼じゃん、誰って聞くの、椿ちゃんは知ってる?」

「いや、私も存じ上げませんね…取引のお相手でしたら私は忘れません、ですが…」

名城は何か含みがあるように続けた

「社長?本当にご存知ない方ですか?」

「うん」

「俺も初めて見ました、誰なんです?」

タブレットを操作していた名城はタブレットをしまい声のトーンを下げて再度尋ねた

「本当に知りませんか?弟村さん…あの人の目」

「社長と別れる時ですよね?…ただならぬ感じというか…ハッキリ言います、少々良から感情を感じました」

「…僕らが知らない…よく僕が間違えられる人の事でもなさそう…で、相手は僕の名前をちゃんと言った…となると可能性は1つだ」

車窓を見ながら松田は続けた

「僕の知らない相手が松田を知ってる、という事か…」

名城、弟村何かを察した

「和平さんではなく…松田 啓介さんの事?」

弟村がルームミラー越しに目を合わせる



「松田 啓介」は偽名ではない、「和平」と弟村が呼んだ男がこの世界では「松田 啓介」なのだ


名城は口を挟まず聞こえない振りをしていた…彼女の中では彼は「和平」ではなく「松田啓介」その人なのだ



「正解、察しが良くなってきたね、弟村君も。Hermes Ltdを立ち上げた時の取引相手なら僕も覚えているんだけど覚えがない、おそらく啓介が僕を遠ざけた時の相手だ、しかし…相当嫌われてるね…啓介は。一体何をしでかしたんだが」


「今頃になって…これって偶然ですか?」

「さて…どうだろう。小谷君が出張るタイミングでこれだ。どうしたもんかな」

「社長、ホテルの場所変えますか?」

「いや、それはそのままでいいよ。君らが僕を守ってるくれるから大丈夫、ありがとうね、椿ちゃん」

「何がです?」

「心配してくれて」

「べ、別に深い意味あ、ありませんから!仕事の範疇です!貴方の護衛は」

名城は少し顔を背けタブレットを操作した

「はいはい、でもありがとう」


運転席の弟村は少しニヤつきながら店へ車を走らせた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「斉木以外は帰ってて良いわ」

明莉が部下達に伝えた

「明莉さんに何かあったら小谷さんに我々は…」

「別に…私がどうなってもあの人は感知しないわ、それとも私の言うことが聞けないの?」

「いえ、そんなことは…」

明莉の右横でスマホで通話していた男がマイクを抑え明莉に耳打ちをした

「明莉さん…」

「わかった、斉木、そちらに行くと伝えて」

「かしこまりました」

「…誰かとあ」

部下の1人が何かを言おうとした時、明莉の冷たい視線を向けられた

「無駄な事は貴方達が考える事ないの、そもそも貴方達に関係ないわ。いいわね?早く帰りなさい!斉木、行くわよ」

そう言い残し明莉と斉木と呼ばれた男はホテル本館のエレベーターホールへ向かった











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