辺境伯の花嫁は元悪役令嬢〜婚約破棄から始まる新しい人生•改〜

六角

プロローグ

 私は、エリザベス・フォン・クラウス公爵令嬢だった。


 王国の誰もが羨むを持ち、王太子と婚約していた私はまさに幸せのだった。


 そう、だったのだ。


「エリザベス・フォン・クラウス公爵令嬢、私はあなたとのさせて頂きます。」


 なんの抑揚らくようもなく、ただひとみで私をみつめ告げてきた。


 その日突然呼び出された王宮で、ただ一人私は言われたのだ。


 辺りには物音一つ響かない張り詰まった空気が流れていた。


「何ですって、、、?」


 私は信じられないという表情で、王太子を見返した。


「理由を聞かせて頂いても、、、?」


 私は、焦りを隠しながら冷静に尋ねた。


「理由など必要ありません、私はあなたと婚約する気はないのです、それで十分でしょう。」


 王太子は当たり前の事言っているかのように告げてきた。


 そして私の指から指輪を何の遠慮えんりょもなく奪いさった。


 それと同時に王太子の手に抱きつくように現れた人懐っこそうな容姿をした、金髪碧眼きんぱつへきがんの美少女に指輪を大事そうに渡した。


 美少女は満面の笑みを浮かべ子猫のように王太子に抱きついた。


 王太子は私にも見せたことのない笑顔を見せ満足気な表情をした。


「この方こそが私の真の婚約者で運命の人であり、この世界を救う救世主です。」


 王太子は堂々とまるで何かにとらわれているかのように宣言した。


 私はただ唖然あぜんと立ち尽くした、何が起きているのか分からなかった、ただそれと同時に何かが吹っ切れたよう気がした。


 私は王太子と婚約をしていた、だけれどもそこに王太子の言う真の愛はなかったかもしれない、それでも私は彼を愛していたし、愛されていたはずだった。


 それなのにどうして、こんな事になってしまったのだろうか。


 私は涙が流れるのを必死にこらえた。


 私は、強くないといけなかった、王国の誰もが憧れる人間でなければいけなかった。


 私は王太子の姿を見ない様にして王宮の廊下を歩き始めた。


 すると、私の視界に入ってきたのは王宮の一角にたたずむ男だった。


 彼はの美青年で黒い軍服に金色の刺繍ししゅうが入ったものを着ていた。


 彼は何故か私を見つめていた。


 婚約破棄された私を嘲笑あざわらいに来たのだろうか?だとしたら相当性格が悪い。


 確か彼は、レオンハルト・フォン・シュバルツ伯爵で王国最北端の北方辺境伯領を治めていて王国の剣と武をつかさどるものだった。

 だけれども相当な曲者くせもの冷酷無慈悲れいこくむじひで、人を信じないという噂が流れていると王妃教育で学んだ。

 その王妃教育さえも今は無意味になってしまったけれど、、、。


 私は彼と何度か会ったことがあったが、ほとんど話したことは無かった。


 それなのに、どうして彼は今私を見ているのだろうか?


 私は彼の視線に戸惑った。


すると、彼は私に近づいてきた。


「エリザベス・フォン・クラウス公爵令嬢」


彼は私の名前を呼んだ。


「あなたと話があります。」


彼はそう言って、私の腕を掴んだ。


「な、な、何を、、、するんですか?手を離してください」


私は驚いて抵抗したが、彼は聞く耳を持たなかった。


「今すぐにでもあなたに話したい事があります。付いてきてください。」


彼はそう言って、私を抱き抱えた。


「へ、何んですか、、、〜〜〜」


私は慌てて尋ねた。


「あなたと結婚事になりました。」


彼はそう言って、私を王宮から連れ出した。























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