第2話

「ぱぱしゃん。」

3歳になった私。話す事はできるのだが、まだ辿々しい。


「私は誰かな〜?」

「まましゃん。」指さしながら言うと、涙を浮かべながら、私を抱きしめる。


それ程、溺愛しているのだ。


さて、何故私が両親の事を「ぱぱしゃん、まましゃん」と呼ぶのかと言うと、私が覚えやすい様にと同時にお互いを「パパ」、「ママ」と呼び合うのが夢でもあったらしい。


本当に仲の良い2人である。


では、私が言う「〜しゃん」は、まだ両親がお互いを呼び合うのが照れくさいようで、どうしても「〜さん」付で呼び合っているのを、私が覚えたようだ。


夕方、「ぱぱしゃん」が帰って来た。


「お帰り〜!」と「まましゃん」が出迎える。


「あっ、ゆめを抱いてズルい!僕にも抱かせてよ!ただいま〜ぱぱしゃんですよ〜」


・・・疲れてないのだろうか?


夕飯は私が好きな、ミートソーススパゲッティ。


私は、パパしゃんから、ママしゃんからと交代で食べさせてくれる。

本来ならば、そろそろ自分のフォークで、顔や衣服を汚しながら食べるものだが、私に甘々の2人は食べさせるのが幸せなのだろう、そんな事はお構いなしだ。


「ぱぱしゃん」にお風呂に入れて貰う。


パパしゃんは私を丁寧に洗ってくれるし、気遣ってもくれる。それも、異常な程に。


お風呂からあがった私を拭いてくれるのは「まましゃん」の仕事。これも丁寧に拭いてくれ、ベビーオイルまで塗ってくれると至れり尽くせり。


夜眠る時に、いつものように「まましゃん」が絵本を読んでくれる。


ママが持ってきたのは、かなり古い本でボロボロであるが、


「何故かここにあった絵本だよ〜」と言っていた。


今回の話は「桃太郎」。


母の優しい声を聞きながら、私は眠りについた

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