第11話 金貨200枚の価値
「まあ、この二つだけでSランク確定なんだが、残りの二つも見ておくか。」
「はい。次は自動小銃だそうです。」
「はお、これがそうですね。」
私は自動小銃をリンさんに渡した。
「注意してくださいね。絶対、人に向けないでください。」
「ウフフッ、その人に向けてはいけないものを、さっきは向けられたんですよね、ワ・タ・シ!」
「よーし、そいつは俺が試すから、リンはもう一度胸当てをつけるんだ。」
「せっかく、下着を換えてきたんですからもう嫌です。そうだ、ギルマス、胸当てを試してみましょうよ。責任者なんですから!」
「いや、俺は攻撃を受けると、反射的に反撃しちゃうんだよな。」
「だったら、あの岩で試せばいいじゃないですか。なんで私で試そうって考えるんですか!」
「いや、ほら、好きな女の子に意地悪したくなる的な……。」
「絶対嘘ですよね。奥さんも子供もいるのにそういうこと言ってると捨てられちゃいますよ。」
「だってよ、岩じゃ反応してくれないじゃんか!」
「ああ、Sなんですね。前からそうじゃないかと思ってましたが……。」
なんだかおかしな茶番劇を見せられましたが、結局、自動小銃の効果は岩で試すことになりました。
「この安全装置をスライドさせると魔法陣が完成して起動できるようになります。」
「ああ、暴発しないように対策してあるんですね。じゃ、いきます!」
リンさんの指が引き金にかかると同時に魔法陣の具現化が起こり、氷の弾丸(アイスバレット)がダダダダダッ!っという効果音と共に射出されます。
「ヒッ!」
驚いたリンさんが引き金から指を離すまでの一秒間に10発ほどの弾が発射され、2メートルほどの大岩が割れます。
「嘘だろ!これまで、魔法や打撃の試し打ちに何十年も耐えてきた岩だぞ……。」
「まあ、あまり強力な打撃は試していませんでしたがのう。」
「リン、魔力の消費はどんな感じだ?」
「全然……大丈夫です。」
「私たちが毎日ダンジョンに潜ってフルで使っても平気なんですからね。」
「はい。氷の粒を生成して打ち出しているだけですからね。」
「いやいや、さっきの胸当てとセットで使ったら、超難易度のダンジョンでもソロで行けますよ。」
「セットで金貨200枚出しても1年で元はとれそうだな……。」
「射出した時の”ダダダッ”という音は何の音なのじゃ?」
「はい。使用者の気分を盛り上げるために効果音を付けてます。」
「なるほどなあ。確かに気分よさそうな音だったからな。よし、リン!」
「いやです!」
「これで終わりか?」
「いえ、もう一つ残っています。」
「もう、十分すぎるほど確認できましたが……。」
「えっと、最後のやつはエリアシールドですね。ベルトに魔法円が刻んでありますが、これは?」
「ダンジョンとかで、休憩や仮眠する時に使うもので、使用者の半径5メートルに魔法と物理の障壁を展開します。」
「さっきの胸当てと同じ障壁か?」
「はい。でもこっちは、内側からの攻撃は素通りするので、パーティー戦とかで使うこともできます。」
「でも、使用者以外がそこから出ちゃうと戻れなくなっちゃいますけどね。」
「一度起動すると6時間作動しますので、これにはオフにするスイッチもつけてあります。」
エリアシールドもリンさんが装着して試してもらったが、5メートルという距離が安心できたのか、本人は余裕の表情を見せていた。
「ねえ、これで私がギルマスに近づいていったら、どうなるのかしら。」
「ダンジョンで試した時には、魔物が壁に押し付けられて潰れていましたよ。こっちは力を入れてないのにグシャッと。」
「リ、リン、おかしな考えはやめろ。」
「さっきは、みんな私のお願いを聞いてくれませんでしたよね。必死に叫んだのにねぇ、ウフッ。」
【あとがき】
金貨1枚で質素な生活をすれば一年食べていける目安です。
実際には直径35ミリの金貨が33グラムほどの重さなので、金の買取価格5000円/グラム換算で16万5千円になります。
光熱費やスマホ代、家賃が発生しないで、食べるだけなら何とかなる金額だと思います。
今は金の買取価格が上がってきて、1万円近くになっていますから、一日2食なら1食あたり450円かけられます。
結構、余裕じゃないでしょうか。
マギ・デザイナーがプロ野球選手で、Sランクがメジャーの大谷選手級とすれば、年収金貨1万枚で33億円。うん、妥当な数字ですよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます