第337話 鉱山エリア
次のアップデートに備えて、南の鉱山エリアを攻略するために転移した。鉱山エリアには、大きな山がある。そこにはいくつかの洞窟があるので、そこが坑道になっているのだと思う。
「【召喚・ソイル】」
鉱山が舞台という事もあり、ソイルを召喚する。
『わぁ……』
ソイルは、鉱山を見て目を輝かせていた。土精霊だから、鉱石に興味があるのかな。
『あそこ……凄いよ……』
「鉱石が?」
『うん……原石……ごろごろ……この土地が……沢山生んでる……』
「じゃあ、枯渇がないって事?」
『うん……』
ここで採掘し過ぎて、鉱石がなくなるという事はないみたい。無限に原石が生まれるって事は、かなり特殊な土地なのかな。
ソイルは、珍しく大興奮で鉱山に入るのが待ちきれないという様子だ。
「せっかくだし、今日は二人で探索しようか」
『うん……!』
ソイルが嬉しそうに頷くので、ソイルと二人きりで鉱山エリアを探索する事に決めた。本当はエアリーがいた方が楽なのだけど、ソイルが嬉しそうだから、このまま行く。
外側の探索は私が飛べば良いので、一緒に坑道の中に入っていく。
『お姉ちゃん……採掘……して良い……?』
「良いよ。どんなのが出るか気になるし」
ソイルが坑道の壁に手を当てる。すると、壁からどんどんと金属と宝石が出て来る。原石の状態ではなく、既に精錬や研磨がされた状態だった。これがソイルの【採鉱冶金】の力みたいだ。
手に入る金属と宝石を片っ端から仕舞っていく。
「ここのは取り切れそう?」
『うんうん……どこからでも……持ってこられるから……』
「あっ、実質無限って事ね。何か特殊な金属とかある?」
『下の方に……あるよ……でも……ここからじゃ……採りにくい……』
「そうなんだ。じゃあ、奥に進もうか。下の方に行ける道はある?」
『うん……! 案内……する……!』
「よろしくね」
ウキウキなソイルと手を繋いで歩いていると、壁に縛られたアルマジロがいた。背中に沢山の宝石が付いているジュエルアルマジロって名前のモンスターだ。
『縛って……おいたよ……』
「ありがとう。良い子だね」
ソイルの頭を撫でてあげると、ソイルは嬉しそうに目を細める。何も言わずにちゃんと拘束しておいてくれるのは有り難い。
ジュエルアルマジロに吸血をして倒すと、【回転】を手に入れた。持っているスキルだから、経験値に変わった。
そのまま坑道を歩いていると、いくつも分かれ道が存在した。探索は後でするとして、マッピングはしておきたいと思ったので、【眷属創造】で蝙蝠達を喚びだして、マッピングをさせておく。
そうして移動している間に、背中に水晶を生やしたクリスタルラットと顔色の悪い鉱石喰いの亡者、これまた顔色の悪い宝石喰いの亡者というモンスターにも吸血していった。その結果、【宝石創造】【鉱石創造】【水晶創造】【機動性強化】のスキルが手に入った。
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【宝石創造】:MPを消費して、宝石を生み出す事が出来る。生み出せる宝石はランダムで、MPの消費量で生み出せる宝石の最大レア度が変わる。
【鉱石創造】:MPを消費して、鉱石を生み出す事が出来る。生み出せる鉱石はランダムで、MPの消費量で生み出せる鉱石の最大レア度が変わる。
【水晶創造】:MPを消費して、水晶を生み出す事が出来る。生み出せる水晶はランダムで、MPの消費量で生み出せる水晶の最大レア度が変わる。
【機動性強化】:移動速度が上昇し、身体の小回りが利くようになる。控えでも効果を発揮する。
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何か色々と生み出せるようになった。もはや、それを生み出して良いのかと心配になってくる。まぁ、これでアカリの手伝いとかが出来そうだし、それで良いかな。
獲れるスキルは全て獲ったので、他のモンスターは全部倒す事にした。基本的にソイルがやってくれるから私がやれる事は少ないけれどね。
そんな調子で歩いていると、ソイルが突然止まった。
「どうしたの?」
『この壁の先……何か……変……』
「変?」
ソイルが感知出来る事だから、この壁の先に空間があるみたいな感じなのかな。私も壁に手を当てて【大地武装】で壁の先を感じ取れないか確認してみる。
「全く分からない」
『ここから先に……丸い空間が……あるよ……』
「空間? 何だろう? 掘り進められるかな」
『お姉ちゃんじゃ……無理だと……思う……かなり……硬いから……』
「ふ~ん……本当だ」
どのくらい硬いのか試してみたところ、私が持つ【掘削】では硬くて掘れない。【大地武装】で動かせるかと思ったけど、これも私には無理だった。ソイルで動かせるのなら、支配以上の力が必要になるみたい。
「それじゃあ、ソイルにお願いしようかな」
『うん……』
ソイルが壁を動かして、人が一人だけ入る事が出来る穴を作り出した。その穴を通って中に入ると、中央に宝箱があった。丸い空間って言っていたから球状の場所を想像したけど、円柱状の部屋になっているみたいだ。
その部屋には四方向に柱が建っている。その中央にあるのが宝箱という感じだ。警戒しながら宝箱に近づく。取り敢えず、襲い掛かってくるという事はないみたいだ。でも、鍵は掛かっている。影で錠の中身を確認し、その形に合う鍵を血で作り出す。宝箱を開けると、中にはつるはしが一本入っていた。
「採掘王の鶴嘴か。私にはソイルがいるから要らないね。アカリにあげよっと」
採掘王の鶴嘴をアイテム欄に入れておいて、アカリにプレゼントする事にする。これ以外に何かがあるわけじゃないみたいなので、部屋から出てソイルに壁を塞いで貰う。
そこから、さらに歩いていくと、崩落して埋まってしまっている場所に着いた。ソイルは、何も言わずに崩落で出来た瓦礫を退かしてくれる。人が通れるくらいの穴が出来たところで、身体を滑り込ませて入る。
「う~ん……ここも普通の坑道みたいだね」
『うん……ここは塞ぐ……?』
「そうだね。下手すると、中に入って出る事が出来なくなる可能性もあるから」
『うん……』
他のプレイヤーが入って、瓦礫が元に戻ってでもいたら、ここに閉じ込められる可能性が出て来る。それは可哀想なので、ソイルに塞いで貰っておく。そのまま先に進んでいくと、採掘途中の坑道の奥に着いた。
『ここが……一番奥……』
「みたいだね。ここなら沢山採れそう?」
『うん……!』
「それじゃあ、アカリのために沢山採ろうか。ついでに、私も宝石とか出してみようかな」
『うん……』
ソイルが採掘している間に、私も鉱石と宝石と水晶を生み出していく。確かにMPを注げば注ぐ程良さげな鉱石とかが出て来た。本当に良いものなのかどうかは、アカリに訊かないと分からないけど。
ただ、自分の皮膚から鉱石とかが落ちていく光景は、かなり衝撃的だった。せめて、吐き出す方向に出来なかったのかな。それとも、この過程が大事なのかな。そういえば、鉱石喰いと宝石喰いの肌にも鉱石だったり、宝石だったりが付いていた気がする。鉱石や宝石などを食べ過ぎた結果、身体から生まれるようになってしまったみたいな感じかな。
一時間程採掘などを続けて、大量の鉱石と宝石と水晶を手に入れた。アカリが喜んでくれると良いな。
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