第332話 天使の権限

 天聖竜との戦いを終えた私は、一旦ギルドエリアに転移した。施設を出るときお爺さんがニコニコしていたのが、何か押し付けられるのではと思って若干怖かったけど、特にそんなこともなく見送ってくれた。


「ふぅ……」


 精霊達の集会場に座ると、わらわらと皆が集まってきた。膝に乗ったり背中にのしかかったり、隣から寄り掛かったりと思い思いの方法で私に甘えてくる。本当に可愛い子達だ。まぁ、最終的に後から気付いて飛んで来たスノウのタックルで全員倒れる事になるのだけど。ちなみに、エレクはスノウのタックルで飛ばされた私にさりげなく甘えてくるくらいだった。

 皆を一通り撫でてあげてから、やっぱり自分の部屋に戻る。集会場でも良いけど、多分皆が集まってきて身動きが取れなくなるから。まぁ、私が邪魔しないでねって言えば良いのだろうけど、皆が甘えてくる事自体は嫌じゃないので何も言えなかった。


「さてと、天使の権限って何だろう?」


 クエスト『天使の試練』をクリアした事で、手に入れたアイテムだけど、どういうアイテムなのかは分からない。取り敢えず、取り出してから考える。出て来たのは、一枚の羽根。守護天使の羽根に似ているけど、持っている力のようなものが違う気がする。守護天使の羽根よりも遙かに強い神聖さだ。

 ジッと見ていたら、急に天使の権限が浮き上がった。慌てて掴み取ろうとするけど、天使の権限は私の手を避けて、そのままこっちに落ちてくる。それなら身体で受け止められそうとだけど、一つ思い出した事があった。それは、【天使】を手に入れた時。あの時も羽根が私の胸の中に入っていった。もしかしたら、この羽根も同じように私の中に入り込もうとしているのかもしれない。何で胸から入るのかはよく分からないけど。

 羽根はゆらゆらと落ちてきて、予想通り胸の中に入っていった。


『天使の権限を解放。SPを2000消費して【大天使】を【熾天使】へ進化します。【熾天使】に進化した事により【大天使翼】を【熾天使翼】へ強制的に進化します。また【熾火】【神炎】を強制的に収得。これにより、【白炎】【聖炎】の収得が不可能となります』


 立て続けに色々な事が起こった。まず、SPが一気に2000も消費させられた。元々余っていたものだけど、それでも消費させられた数字が大きすぎる。それだけ【熾天使】への進化が特殊という事なのかな。

 そして、【大天使翼】が【熾天使翼】に進化した。ただし、これにはSPが消費されない。強制進化だからなのかな。

 加えて、【熾火】【神炎】を強制的に収得させられた。【熾天使翼】と同じく、これもSPの消費がない。でも、【白炎】【聖炎】と呼ばれるスキルが収得出来なくなった。恐らく、白炎の始祖の血瓶を飲んだ意味が消え去った。いや、ある意味では、その最上位を手に入れたようなものだから、良いのかな。


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【熾天使】:天使の最上位に位置する階級。光、神聖、火に属する力を極端に強化する。光属性、神聖属性、火属性に対して完全な耐性を得る。全ステータスを非常に大きく上昇させる。控えでも効果を発揮する。


【熾天使翼】:魔力によって出来た熾天使の羽を生やす事が出来る。羽の展開時のみMPを消費して飛ぶ事が出来る。控えでも効果を発揮する


【熾火】:身体に炎を溜め込む事が出来る。控えでも効果を発揮する。


【神炎】:神聖属性を纏った聖なる炎を出す事が出来る。控えでも効果を発揮する。


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 これを見た私は、すぐに一つの事に気付いた。それは、【熾火】が炎を溜め込むというスキルである事。すぐにスキル収得のメニューを開く。すると、思っていた通り、【熾火】が【無限火】に進化出来る。即座に進化させて、【火炎武装】も【支配(火)】に進化させる。


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【支配(火)】:全ての火を支配する。火を使った武器の生成、強化が可能となる。使用出来る火の量が無制限になる。控えでも効果を発揮する。


【無限火】:無限に火を蓄えて、自由に出し入れ出来るようになる。控えでも効果を発揮する。


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 この前火精霊の血瓶を飲んでいた成果が出た。完全に予想外の結果だけど、また私のスキルが大きく一変する事になった。


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ハク:【武芸千般Lv100】【二刀の極みLv21】【武闘術Lv100】【始祖の吸血鬼Lv100】【影武装Lv100】【大地武装Lv80】【暴風武装Lv95】【雷電武装Lv100】【光明武装Lv18】【暗黒武装Lv15】【加重闘法Lv59】【索敵Lv100】【竜王息吹Lv84】【蒼天Lv57】【天聖Lv1】


控え:【聖剣Lv1】【鋏Lv15】【三叉槍Lv25】【氷爪Lv40】【竜爪Lv25】【岩竜爪Lv10】【剛爪Lv20】【棘拳Lv25】【武闘気Lv95】【爆熱闘気Lv40】【敏捷闘気Lv30】【銃Lv1】【散弾銃Lv3】

【魔道Lv21】【天候魔法才能Lv1】【大地魔法才能Lv3】【雷魔法才能Lv23】【闇魔法才能Lv1】【付加呪加才能Lv1】【状態異常才能Lv1】【死霊術Lv13】【死霊誘引Lv1】

【支配(火)Lv1】【無限火Lv1】【支配(水)Lv34】【無限水Lv45】【吸血鋭牙Lv8】【根源(血)】【完全支配(血)Lv50】【重力操作Lv69】【影渡りLv35】【眷属創造Lv60】

【操糸Lv70】

【HPMP超強化Lv100】【物理超強化Lv100】【魔法防御強化Lv98】【器用さ強化Lv100】【運強化Lv100】【神体能力強化Lv40】【五感強化Lv100】【感覚強化Lv100】【頑強顎門Lv58】【弾性強化Lv94】【骨格強化Lv10】

【毒耐性Lv90】【麻痺耐性Lv54】【呪い耐性Lv31】【沈黙耐性Lv66】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv11】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv60】【魅了耐性Lv21】【出血耐性Lv1】【気絶耐性Lv11】

【夜霧の執行者Lv79】【堅牢堅固Lv68】【茨鎧Lv40】【腐食鎧Lv38】【隠蔽色Lv50】【雨隠れLv35】【明暗順応Lv70】【回転Lv95】【遠心力Lv55】【飛翔Lv100】【暴飲暴食Lv100】【悪食Lv49】【貯蔵Lv100】【恐慌Lv40】【腐食Lv75】【心眼開放Lv93】【熱感知Lv40】【適応Lv55】

【神炎Lv1】【氷炎息吹Lv53】【氷雷息吹Lv50】【岩風息吹Lv41】【蒼炎息吹Lv45】【炎牙Lv52】【水鉄砲Lv50】【泡Lv40】【氷分身Lv30】【魔氷結Lv45】【放電Lv50】【吸雷Lv10】【電光石火Lv100】【疾風迅雷Lv100】【雷脚Lv100】【猛毒牙Lv73】【猛毒鎧Lv30】【猛毒生成Lv45】【猛毒血Lv45】【麻痺毒牙Lv10】【麻痺血Lv18】【奪声牙Lv10】【呪毒牙Lv10】【失明牙Lv10】【血狂いLv30】【狂化Lv30】【猪突猛進Lv45】【繭Lv10】【強靭絹糸Lv51】【捕縛糸Lv50】【魔力糸Lv18】【威圧Lv30】【ドラミングLv6】【超圧縮Lv70】【念力Lv6】【射出Lv94】【超音波Lv53】【虫翅Lv2】【白翼Lv59】【鋼鉄翼Lv3】【浮遊Lv72】【珊瑚砲Lv30】【黒蝕Lv40】【粘体Lv25】【模倣Lv20】【感染Lv15】【超反応Lv66】【解錠Lv21】【魅了の魔眼Lv37】【呪いの魔眼Lv33】【吸魔の魔眼Lv18】

【鬼Lv55】【鬼気Lv52】【黒鬼気Lv52】【竜王血Lv100】【竜鎧Lv35】【岩竜鎧Lv15】【竜翼Lv72】【精霊体Lv100】【魔王Lv100】【大悪魔Lv100】【大悪魔翼Lv100】【聖王Lv100】【熾天使Lv1】【熾天使翼Lv1】【魔聖融合Lv100】【属性結合Lv36】

【機織りLv31】【糸紡ぎLv32】

【水中戦闘術Lv5】【掘削Lv6】【竜騎Lv45】【農家Lv100】【果樹Lv78】【稲作Lv71】【畑作Lv92】【花卉Lv98】【茸栽培Lv35】【畜産Lv100】【解体Lv30】【酪農Lv100】【羊飼いLv100】【養鶏Lv100】【養豚Lv100】【養蜂Lv1】【木こりLv35】【調教師Lv100】【精霊使いLv100】【統率者Lv93】【言語学Lv100】【古代言語学Lv81】【現代言語学Lv100】【プリセット】

SP:262


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 改めて見てもSPの消費がエグかったと思う。桁が一つ減るだけで、一気に不安になる。でも、新しい力っていうのは、それだけでわくわくするものだ。

 早速、まだプレイヤーの少ない湖畔の古都に転移して、【熾天使翼】を広げてみる。すると、いつもとは違う赤っぽい天使の羽が三対出て来た。いつも、【大悪魔翼】と【竜翼】を合わせて三対にしていたけど、【熾天使翼】は一つで三対出せるらしい。そのせいで、他の翼系スキルが同時使用出来ないけど。背中が完全に埋まっちゃっているし。

 【熾天使翼】で空を飛ぶと、これまでよりも力強い羽ばたきが出来て、速度も速い。しかも、それだけでなく、身体の周りに虹色の揺らぎが生じていた。虹色に光っている事を除けば陽炎みたいだ。

 そこから少しだけ高く飛んで、【神炎】を試す。右の手のひらに外炎が虹色をしている炎が出て来る。ついでに左手には【無限火】で炎を出してみたのだけど、こっちも【神炎】になっていた。【神炎】を持っていると、自分から出せる炎は全部【神炎】になるみたいだ。


「この感じだと、光の因子も強化されてそうだなぁ……また反転物質を作りにくくなったか……まぁ、そう何度も作るつもりはないけど」


 【支配(火)】の調子も良い。【神炎】を剣にしたり、弓にしたり、色々と活用出来そうだ。


「さてと、このまま湖畔エリアも探索していこうかな」


 天聖竜との戦いが思いの外早く終わったので、湖畔エリアの探索を進める事にした。

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