第326話 第六回デュオイベント

 平日の間は、常用しないスキルのレベル上げをした。探索するには時間が短いからだ。

 それとは別に、大きな出来事もあった。それは、イベント開催のお知らせだ。開催日は十月十一日の日曜日。内容は、これまでとちょっと変わっていて、二人一組のパーティーを作ってのバトルロイヤルとなった。アク姉達は大学の用事で参加出来なくて、フレ姉達は仕事が忙しくなっていて、恐らく参加出来ないと言っていた。

 まぁ、私はアカリと組む予定だから、あまり関係ないのだけど。アカリは、本当に自分で良いのかと言っていたけど、他に誘う相手はいないし、アカリと一緒が良いので自分から誘った。アカリとなら、イベントに勝っても負けても楽しめるだろうしね。

 そんな明日のイベントに備えて、今日はレベル上げに費やす。使えるスキルを増やして、アカリを守れるようになりたいからね。欲を言えば、武装系スキルを支配系に進化させたいけど、結局無限系のスキルが必要になるから、進化は出来ない。無限系のスキルも、【無限水】と同じなら、精霊の血瓶が必要になる。それを見つけないといけない。そう考えた時、ふとあることを思いだした。それは、前のイベントの報酬で貰った選択式レアアイテムボックスの存在だ。ついでに、普通の選択式アイテムボックスも。それぞれ三個と十個手に入れているから、もしかしたら、精霊の血瓶が出る可能性もある。


「まさか、ここで使い時がくるとは……まぁ、レアじゃない方は使っても出ないだろうけど」


 まずは、通常のアイテムボックスから開いていく。予想したとおり、血瓶は出てこなかった。大体がレアモンスターの素材だった。悪い物じゃないけど、私には嬉しいと思えないものだった。基本的に素材持ち込みじゃなくてお任せで武具を作っているし。なので、これはアカリにあげる事にする。何かしらの研究や試作とかに使えると良いな。

 そして、本命のレアアイテムボックスを開ける。欲しい素材があるからか、結構緊張している。一つ一つ丁寧に開封していく。そうして選択したアイテムは、火精霊の血瓶、土精霊の血瓶、白炎の始祖の血瓶だ。他にもアカリが喜びそうな素材アイテムがあったけど、血瓶を優先した。私の強化に繋がるものだしね。全て迷い無く飲んでいく。火精霊の血瓶は、荒々しい感じがあって、土精霊の血瓶はどっしりと重い感じがあって、白炎の始祖の血瓶は火精霊の血瓶と同じ荒々しい感じに加えて、清涼感みたいなものがあった。それらに加えて、全部濃厚な血の味と臭いがする。


「ふぅ……これで、条件を達成したかな」


 そう思ったけど、新しく取れるスキルは一つもなかった。


「……あっ、そういえば、【無限水】って【吸水タンク】の進化だった。つまり、それに該当するスキルが必要なんだ……血瓶だけの問題じゃなかったかぁ……割といけそうって思ったけど、さすがに無理か。それに該当するスキルは何だろう? 雷なら、【放電】を進化していけば、該当してきそうだけど……」


 火と土でそれに該当するものを見つけないといけない。適当に血を吸っていたら見つけられるかな。

 意気揚々とレアアイテムボックスを開けたのに、結局何も得られるものはなかった。若干ショックだ。後でアカリに愚痴るとして、今はレベル上げをしていく事にする。平日は主要じゃないスキルのレベル上げをしていたので、今日は主要なスキルのレベル上げをする。

 そのために最適な相手は師匠だ。【二刀の極み】に至っても、師匠の稽古は受けられるので、レベル上げには助かる。それに、師匠との稽古は、スキルのレベル上げだけじゃなくて、プレイヤースキルの上達にも最適だ。加えて、対ソルさん想定の戦闘にもなる。ソルさんがイベントに参加するとか限らないけど、強敵である事に間違いはないから、何とか良い戦いになるようにはしたい。多分、また強くなっているだろうし。

 刀刃の隠れ里に行くと、すぐに師匠が出て来た。こっちの気配が分かったみたい。そう思った理由は、師匠が既に刀を抜いている事と狐面を着けている事だ。

 即座に稽古が始まり、ボロボロになるまでやられた。まぁ、良い稽古にはなった。師匠と温泉に入って生気を回復させた後、ボス巡りをしてからギルドエリアに戻り、アカリに愚痴りながら、一緒に過ごした。まぁ、アカリは作業をしながらだったけど。

 そんなレベル上げの成果はこの通り。


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ハク:【武芸千般Lv100】【二刀の極みLv13】【武闘術Lv100】【始祖の吸血鬼Lv100】【影武装Lv100】【火炎武装Lv75】【大地武装Lv78】【暴風武装Lv93】【雷電武装Lv100】【光明武装Lv12】【暗黒武装Lv13】【加重闘法Lv56】【索敵Lv100】【竜王息吹Lv81】【蒼天Lv56】


控え:【聖剣Lv1】【鋏Lv15】【三叉槍Lv25】【氷爪Lv40】【竜爪Lv25】【岩竜爪Lv10】【剛爪Lv20】【棘拳Lv25】【武闘気Lv95】【爆熱闘気Lv40】【敏捷闘気Lv30】【銃Lv1】【散弾銃Lv3】

【魔道Lv21】【天候魔法才能Lv1】【大地魔法才能Lv3】【雷魔法才能Lv23】【闇魔法才能Lv1】【付加呪加才能Lv1】【状態異常才能Lv1】【死霊術Lv13】【死霊誘引Lv1】

【支配(水)Lv32】【無限水Lv43】【吸血鋭牙Lv1】【根源(血)】【完全支配(血)Lv40】【重力操作Lv67】【影渡りLv35】【眷属創造Lv60】

【操糸Lv70】

【HPMP超強化Lv100】【物理超強化Lv100】【魔法防御強化Lv91】【器用さ強化Lv100】【運強化Lv100】【神体能力強化Lv30】【五感強化Lv100】【感覚強化Lv92】【頑強顎門Lv56】【弾性強化Lv91】【骨格強化Lv1】

【毒耐性Lv90】【麻痺耐性Lv54】【呪い耐性Lv31】【沈黙耐性Lv61】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv11】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv60】【魅了耐性Lv21】【出血耐性Lv1】【気絶耐性Lv11】

【夜霧の執行者Lv76】【堅牢堅固Lv61】【茨鎧Lv40】【腐食鎧Lv38】【隠蔽色Lv47】【雨隠れLv35】【明暗順応Lv67】【回転Lv93】【遠心力Lv53】【飛翔Lv100】【暴飲暴食Lv100】【悪食Lv46】【貯蔵Lv100】【恐慌Lv40】【腐食Lv66】【心眼開放Lv87】【熱感知Lv40】【適応Lv50】

【氷炎息吹Lv53】【氷雷息吹Lv50】【岩風息吹Lv41】【蒼炎息吹Lv45】【炎牙Lv52】【水鉄砲Lv50】【泡Lv40】【氷分身Lv30】【魔氷結Lv45】【放電Lv50】【吸雷Lv1】【電光石火Lv100】【疾風迅雷Lv100】【雷脚Lv100】【猛毒牙Lv73】【猛毒鎧Lv30】【猛毒生成Lv45】【猛毒血Lv45】【麻痺毒牙Lv10】【麻痺血Lv18】【奪声牙Lv10】【呪毒牙Lv10】【奪明牙Lv10】【血狂いLv30】【狂化Lv30】【猪突猛進Lv45】【繭Lv10】【強靭絹糸Lv51】【捕縛糸Lv50】【魔力糸Lv18】【威圧Lv30】【ドラミングLv6】【超圧縮Lv70】【念力Lv1】【射出Lv92】【超音波Lv53】【虫翅Lv2】【白翼Lv59】【鋼鉄翼Lv3】【浮遊Lv72】【珊瑚砲Lv30】【黒蝕Lv40】【粘体Lv25】【模倣Lv20】【感染Lv15】【超反応Lv62】【解錠Lv21】【魅了の魔眼Lv32】【呪いの魔眼Lv30】【吸魔の魔眼Lv16】

【鬼Lv55】【鬼気Lv52】【黒鬼気Lv52】【竜王血Lv100】【竜鎧Lv31】【岩竜鎧Lv15】【竜翼Lv69】【精霊体Lv100】【魔王Lv100】【大悪魔Lv100】【大悪魔翼Lv100】【聖王Lv100】【大天使Lv100】【大天使翼Lv100】【魔聖融合Lv100】【属性結合Lv32】

【機織りLv31】【糸紡ぎLv32】

【水中戦闘術Lv5】【掘削Lv6】【竜騎Lv40】【農家Lv100】【果樹Lv75】【稲作Lv68】【畑作Lv88】【花卉Lv90】【茸栽培Lv30】【畜産Lv100】【解体Lv25】【酪農Lv91】【羊飼いLv91】【養鶏Lv91】【養豚Lv91】【養蜂Lv1】【木こりLv35】【調教師Lv100】【精霊使いLv100】【統率者Lv91】【言語学Lv100】【古代言語学Lv81】【現代言語学Lv100】【プリセット】

SP:2254


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【吸雷】:雷を吸収する事が出来る。雷を吸収した場合、一定時間毎に麻痺状態になる。放電する事で解消される。控えでも効果を発揮する。(【放電】Lv50)


【吸血鋭牙】:噛み付いた相手を出血状態にし、吸血量を大きく増やす。控えでも効果を発揮する。(【吸血牙】Lv100 【根源(血)】所持)


【骨格強化】:骨格の強度を強化する。控えでも効果を発揮する。(【骨強化】Lv50)


【念力】:MPを消費して、物体を思いのままに動かす事が出来る。控えでも効果を発揮する。(【念動】Lv50)


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 色々なスキルを満遍なく上げていったから、大きく変わる事は無かったけど、雷精霊の血瓶を手に入れたら【無限雷】を手に入れられそうなスキルは手に入った。そこは一歩前進だ。

 そして、翌日。イベント当日になり、アカリと一緒にファーストタウンの広場に来ていた。


「結局フレイさん達も来られないの?」

「うん。予定通りって言って良いのか分からないけど、かなり忙しくなっているみたい。休日出勤しないといけないくらいだから、大変だよね。アク姉達も来られないから、今回のイベントは身内がいないね」

「それはそれで安心だけどね。私じゃ勝てる気しないし」

「う~ん……フレ姉はともかく、アク姉は……まともに戦ってくれないか」

「こういうイベントだとアクアさんの愛が大きすぎるのが悪い方に転がってるよね」

「割り切れば良いのにね。フレ姉なんて、私と戦いたいって言ってくるくらいなのに」


 そこがアク姉の良いところであり、悪いところでもある。今日はいないから関係ないけど。


「フレイさん達が忙しいって事はソルさんもいないのかな?」

「部署みたいなのは違うみたいだけど、同じく忙しいんじゃない? そうなると優勝候補は私達になるのかな」


 これまでのイベントで優勝経験のあるプレイヤーが優勝候補に数えられると思うので、私もその対象に入っている気がする。


「ハクちゃんの自信が羨ましいよ」

「弱気になるのは分かるけど、そんなんじゃ勝てないよ。ソルさん相手に勝つ気を持つくらいじゃないと」

「ハクちゃんは勝てる気するの?」

「いや……師匠にボコされたから、そこまでない」


 ソルさんの強さを師匠と同じだと考えると、まず勝つことは出来ない。この前のイベントの時みたいに耐えるのが精一杯だ。


「ハクちゃんは、師事出来る人がいるから、対人戦の練習が出来るのかぁ……私も隠れ里を見つけたいなぁ」

「まだまだあるだろうけど、見つけるにはエリア全体を調べないといけないから難しいよ。まぁ、全体調べても、ズルい隠し方をしていたりするけどね」

「生産職としては、探索に時間を掛けたくはないんだよね」

「だろうね。アカリに使えそうな隠れ里を見つけたら、教えてあげる」

「良いの? ハクちゃん、基本的に隠しておきたいって感じじゃなかった?」

「アカリにくらい甘くても良いでしょ。恋人なんだし」


 そう言うと、アカリは少し顔を赤くしながら嬉しそうにしていた。教えてくれる事を喜んでいるというよりも、私に恋人と言われた事が嬉しいのだと思う。アカリのそういう純情な部分は好きだ。

 そんな会話をしている内に、イベントの開始時間になる。私達は、二人揃ってイベントエリアへと転移した。

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