罪人少女と過ごす時間

恐竜洗車

プロローグ 罪人少女との出逢い


 ドアが開き、閉じる音


「あ、こんにちは。あなたが私のパートナーさん?」


「ふーん。じろじろ。じろじろ。うん、思ったより普通の人だね」


「どういうことって、あなたもこの施設にいるってことは、罪を犯した人間なんでしょ?」


「ここは罪人を閉じ込めて、矯正させるための施設。ここにいる人たちは、職員さんたちを除けばみーんな犯罪者」


「あなたもそうなんでしょ。ねぇ、あなたはどんな罪を犯したの?」


「うんうん……。なぁーんだ全然大した罪じゃないじゃん。この私にあてがわれるくらいだから、どんな大悪人かと思ったよ」


「えっ、私? そうだねぇあんまし大声じゃ言いづらいから……ねぇ、ちょっと耳貸して」


 耳元に顔を近づける


「ひ・と・ご・ろ・し」


 顔を離す


「ふふっ。驚いた? びっくりした? こわかったぁ?」


「そう。私の罪は人殺し。殺人罪。おおよそ人間が犯す罪の中で、最も重くて許されないもの」 


「そんな私と組まされるなんて、あなたほんとについてないね」


「ああ大丈夫。別に誰彼かまわず殺そうとするシリアルキラーじゃないから。あなたをいきなり襲ったりしない。怖がらなくていいよ」


「それにしても、施設の人たちも変なこと考えたよねぇ。収容者同士でパートナーを組ませて、交流させようだなんて。これも矯正の一環なのかな?」


「それじゃ、人殺し少女と出会っちゃった哀れなパートナーさん、これからよろしくね!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る