第二節 災異鳥、現る!
第四十二話
昼間の明るい空が、真っ黒になっていた。
夜の闇とも違う、不吉な黒いそら。
人々の叫びが聞こえてくる。
そして、耳に胸に突き刺さる叫び声。人間の声ではない。
「
全身真っ黒で、瞳もむろん黒い。
黒い羽音が聞こえる。
黒い羽根が、
撒き散らされた羽根は黒い光とともに、漆黒を広めるようにひらひらと飛ぶ。
恐ろしさが飛び散っているように見えた。
雷がひかる。
雷は神鳴り。
神の怒り。
天に住まう、天帝の怒り。
昼なのに真っ暗な世界に、「
黒い羽音。
それは、本物の黒。
「あの黒!
あたかも、あたしが
あたしは自分の髪を見た。
「こんなに短い間に、
「
「はい。そもそも、
「
黒く響く羽音、かなしみの叫び。人間までをも黒く染め上げる漆黒の闇。
漆黒の中では微かな
あたしも「灯」と書く。
せめて、光が増えるといい。
暗闇の中で、
「
「宮子」
そのとき、
その目はかなしみの色を湛えているように見えた。
……何をかなしんでいるの?
「宮子?」
災異鳥をじっと見つめるあたしに、
「ううん。
「泣く? 鳴くではなくて?」
漢字が意味とともに脳内に届く。
「そう、泣く。涙を流しているんじゃないかしら?」
なおも、黒い大空を滑空する
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