第十七話
箱を開けると、禍々しい気配が現れた。
人型に形どられた白い半紙のような紙が現れた。
人型の紙には「萩古江 重篤」と書かれていた。
ひと目で、これは悪しきものだと分かった。
「
折り畳まれたそれに、見覚えがあった。
よく覚えている。
一番初めに書いた
「それはあたしが書いたものです。最初に書いた
「でも、よく似た手よ。使われている文字が違うけれど、癖がそっくり」
「見せてみろ」
「強い
すると禍々しい気配が消えて、それは急にただの紙になるのを感じた。
「これは、
「でも」
「
「はい」
あたしは差し出された紙に、「篤」と書いた。
「見比べてみるがいい」
よく似ていた。
しかし、跳ねる部分の書き方や点の書き方が、決定的に違っていた。
「これは、宮子の文字に似せて書いた、呪符だ」
「でも!」
「それに、この呪符はもう呪符の役目は果たせない。
「だけど、呪符が
「それは宮子が
「はい!」
「何よ!」
「何よ、何よ! 宮子さまが悪いのよ!」
「
美人は泣いても美人なんだなあ。
すると、
「
あたしが
「
部屋の上座に案内する。
「
「分かった。では、わたしも下がろう――何かあったら、すぐ呼んでくれ」
「はい。……あの」
「なんだ?」
「あの、さっきは信じてくださって、ありがとうございます!」
「当たり前じゃないか。宮子がそんなことするはずがないと、わたしは知っているよ」
と言った。
そこに
「さ、
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