第十五話
「お疲れさまです、
部屋に戻ると、
「うん、少し疲れたかな?」
あたしは着物を着替えて、くつろいだ。
すると、ふいに
「
「
あたしは慌てて、崩していた足を揃えて座り直した。
「いや、いい、そのままで」
「あ、じゃあ、わたしは下がりますね?」
や、待って!
き、緊張するんですけど。
ああああ!
だめだ。
恥ずかしくて、なんだか顔がまともに見られない。
あたしは、契約結婚のつもりで
だけど、
「あのような
「あのような、とは?」
「
「そ、そうなの?」
「
あたしにはその「全然違う」とやらが、さっぱり分からない。
何しろ、出会ってすぐに
だけど、しばらくいっしょに過ごすうちに、
皇太子としての職務が多忙であるにも関わらず、周りの人みなに優しく、皇太子だからと威張ったりするようなことは決してなかった。
そして、あたしに対しても優しくて、「大切にする」と言ってくれたのは本当だった。
あたしは
そうか、これももしかして契約の仕事に入るのかな。か、考えていなかった。
えーと、ど、どうしよう?
「宮子」
やだ、あたし。
別に初めてってわけでもないのに。
あ、でも、この肉体は処女?
あれ? えーと、あたしは処女なのか処女じゃないのか、どっちなんだろう?
いやいやいや、あーん、あたし、何考えているんだろう?
「宮子」
ええい! だいじょうぶ! あたし、処女じゃない。
っていうか、中身は
大丈夫。
何が大丈夫か分からないけど、大丈夫だから。
「
「大丈夫。何もしないよ。――気持ちが通じ合うまで。時間はある。ゆっくり待とう」
「今日は疲れただろう。おやすみ」
「え? あの、その」
「眠るまで手を握っていてあげようか?」
「い、いえ、それは恥ずかしいです!」
「……おやすみ、宮子」
「おやすみなさい、
ええっと。
気持ちが通じ合うまでって、どういうこと?
ええっと。
これ、契約結婚、なんだよね?
あたしはばくばくする心臓を静めながら、疲れていたのもあってすぐに眠りについた。
そうしてあたしは娶しの儀以来、毎日、同じ御寝所で、麗しい
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