第十三話
「……まあいいわ。
何が勝ち負けかよく分からないので、この台詞にも笑顔で返す。
「……あなたの顔を近くで見ることが出来てよかったわ。わたくしの方が美しいって分かったもの」
駄目だ。
笑い出しそう。
ここは本来、怒る場面かもしれないけど、あたしはなんだか
「……何よ。にこにこしていないで、何か言いなさいよ」
「今日はあたしの顔を見るだけの御用でございますか?」
にこやかに言う。
「あなたの顔を見るのも目的の一つだったけれど、それだけじゃないわ」
「何でしょう?」
「あなたに
「どんなものですか?」
「わたくしの母への暑中見舞いよ。夏の暑さで体調を崩したりしないように」
「かしこまりました。お引き受けいたします」
季節ごとの
「……頼んだわよ。皇太子妃としての役目をちゃんと果たしなさいよ」
華やかな顔立ちに華やかな衣装がよく似合っていた。
「
「すみませんでした」
「え?」
「
「
「……はい」
「大丈夫よ、
泣きそうな顔をしている
すると、
「ご立派でしたよ、宮子さま」
「そう?」
「そうですとも。あの
「だから、
「……ありがとうございます、
「では、宮子さま。皇太子妃としての仕事をいたしましょうか」
「はい!」
あたしは張り切って返事をする。
いよいよ、実践だ。
「宮子さま。……わたし、皇太子妃が宮子さまでよかったです」
「そう? ありがとう」
「はい」
「わたし、皇太子妃付きの女官になることが決まっていたんです。つまり、もともとは
あたしは
「あたしも、あなたでよかったわ。
「はい……!」
さて。
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