けものの国

矢口羊

おとぎばなし

これはとあるおとぎ話。むかしむかし、まだ世界が人間と魔族しか居なかった頃。

動物たちは人からも魔人からも狩られ、隠れるように暮らしていました。


森は焼かれ、川は汚され、草原からは追い出され、

動物たちはそれはそれは困っていました。


ふとある時虎のシーシャは思いました。


「私たちに力があれば」


ふとある時熊のリージュは思いました。


「私たちに賢さがあれば」


ふとある時狼のユユは思いました。


「私たちを救ってくれる神様がいれば」


動物たちがそう強く願うと、天は一人の男を遣わしました。

その男は動物たちを導き、みんなの安らげるけものの国を作りましたとさ。

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