相談2


「まさか、たかみから恋バナが聴けるとは!」


タクが喜んでいる。


そりゃー、田戸さんは美人だし、付き合いたいかと言えば、付き合いたいに決まっている。


「まだ向こうがどうおもっているかわからないから」


「わたしは脈がありだと思うけどなー」


「私も同感です」


女性2名がなんともうれしいことを言ってくる。


そんな話をしていたら店員が注文した料理をもってきた。


「ご注文の限定たまごふわふわケーキのスペシャル盛りと通常サイズのケーキです」


堀内さんと加藤さんが注文していたケーキがテーブルに置かれた。


思わず、驚きの声が出そうだったがなんとかギリギリでとどめることができた。


お皿いっぱいのケーキの上に生クリーム、イチゴ、桃がたくさん乗っかっていて、ケーキのふわふわらしさがなくなってしまっている。



「おー、これは写真とらなくちゃ!」


堀内さんがパシャパシャ何回もスマホで写真を撮っている。


「たかみ、俺らはバイキングだから食べ物とりにいこうぜ!」


「そうだった、忘れていた」


いけない、田戸さんのことを考えていたら、自分がバイキングを注文していたことを忘れていた。


バイキングの品揃えは、地元産の野菜などを使った料理や肉料理があったが、好きな肉料理ばかり皿に載せてしまった。


「貴海さ、そんな肉ばかり食べていたら太るわよ」



「自分でも取りすぎたと思っているが、いつものくせで‥‥」


「健康管理してくれる人はやくみつけないと」


「そうだよー」


堀内さんと加藤さんが、私をいじってくる。


「うっ、うるさいなぁ、ちゃんと後で連絡するから」



「本当に?1人で女性と話せる?」


加藤さんが失礼なことを言い始めた。


「母さんみたいなこと言わないで!」


私が怒ると


「アハハハ、アハハハ」


みんなが笑い始めた。


「失礼だな、まったく、子供じゃないんだから」


「ごめん、ごめん」


加藤さんが謝ってきた。


「私の話はもういいから、本題の話をするよ」


「あら、そう言えば嶋さんの話があったっけ?」


「そう言えば‥‥そんな話があった気がする」


「大事な話だから、2人とも忘れないでよ」


「たかみ、嶋さんの話してくれよ」


タクが、2人とは違いちゃんと覚えていたみたいで、話をふってきた。


「ああ、そうだな」



私は、みんなに嶋さんのことについて話し始めた。


嶋さんが店長をやめて、息子さん夫婦がいる神奈川県に引っ越しを考えていることについて、そして、私に店長を継いでほしいことを。


「そっかー、嶋さんそんなに腰が悪くなったんだね」


「そんなそぶり、全然見なかったけど相当悪いのね」


堀内さん、加藤さんが心配そうな顔をしている。


「このまま店長が決まらないと嶋さんが安心して息子夫婦の家に送りだしたいから、今まで断ってきた店長になってもいいかなと思っているんだ」


真剣な表情で、私が今後について話し始めると


「あらやだ、加藤さん、堀内さん、たかみが珍しくやる気だわ」


タクがボケをかましてきた。


「雨が降ってくるかもしれないわ!」


「えー、私、洗濯物干してあるからやめてよー」


堀内さん、加藤さんがタクのボケにのっかってきた。


「あのみなさん‥真剣な話をしているんだけど‥」


「いや、タクがやる気に満ちているのが珍しいから面白くて」


「そうそう」


「うん」


ひどいよ。みんなさっきから、泣くよ!声出して泣くよ!


流石にそれをやったらひかれるので、胸の中にしまって、本題に入ることにした。


「それで、みんなの意見が聞きたいのだが?」


「貴海がやってくれるならいいよ」


「私もー」


2人とも好意的な意見で私が店長をやること賛成のようだ。


タクはどうだろうか。


「たかみがそう決めたなら反対はしないよ、俺だってこの店好きだし一緒に盛り上げていこうぜ!」


「そうだな!タク」


感動のあまり思わずタクの手を両手で握りしめ目と目があって、見つめ合う格好になってしまった。


「たかみ、おれはそんな趣味ないぞ!」


「すまん、つい舞い上がっちゃって‥‥あはは」


照れた私が笑うのを見て、みんなで笑いあったのは言うまでもなかった。


「じゃ、明日嶋さんに店長の件お受けしますと伝えるよ」


「そうだな、店長になったらパーティでもするか、もちろんたくみのおごりで」


「いや無理でしょ、今日の会計で財布がスッカラカンだぞ」


「えー」


「店長のケチー!」


「はいはい、まだ店長じゃないから!みんな今日はお開きで帰りましょう」


私がそう言うと


「じゃ今日は貴海のおごりだから後はよろしくー」


私がみんなのお会計を支払いを済ますと


「ごめん、たかみ、彼女が家で待っているからもう帰るわ」


「えっ!彼女さんと同棲していたの?」


「じゃあ、結婚も近いのかしら」


堀内さん、加藤さんが驚いている。


「まだみんなに言ってなかったけ?」


「言ってないよ、それなら彼女さんに悪いことしたな」


「たかみ、気にすんな、俺とたかみの仲だろう」


「タク、お前ってやつはやはりいい男だ」


「よせやい、照れるではないか!じゃまた明日」


「じゃあなー」



堀内さんと加藤さんもレストランで別れた。


「ではまた明日、今日おごってくれてありがとう」


「さようならー、またよろしくー」



「じゃあ2人ともまた明日」


2人に別れをつげて、私も自宅に帰った。

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