痛いよ…痛いよ…腹の切り傷が痛いよ…

　どうして切るんだよ。人は…

私達は、ただ、ヒナ達にあげる餌を取りに来ただけなのに、目の前の果実を2つ程、取って自分達の巣に戻り、

ヒナ達にあげようとしただけなのに…

巣に残ってるヒナ達は誰が育てるのよ…

　ねぇ、勇者…あなたが育てるの？育てないでしょうね。だってあなたは、次の街を目指すため私達の亡骸を道端に放置して、次の街に進んでるのだから、武器を構えて私達は逃げるスキが無いまんま振り下ろされた剣に切られちゃたわ。

心臓、左の肺、小腸、あばら骨を斬られたわ。

痛いよ…痛いよ…ママは背中を剣先で貫かれ即死よ。

　ねぇ、勇者…貴方の名前は？

勇者…貴方はどこの国のどこの村の誰のお腹から生まれたの？

私は、近くの森の中の巣の中で隣の背中を貫かれた母から生まれたの。

　ねぇ、勇者…貴方はなんで関係ない生き物を殺すの？

勇者は生き物を倒す者なの？

勇者はヒト以外は気にせず殺せるの？

なら何で、森の主と言われてるグリズリーを倒さないの？

私達は、グリズリーに支配されてるのよ。

勇者なら支配してる者を倒してよ。

私達にとっての魔王はあいつなのよ。

貴方が倒そうとしている魔王は、ヒトでは無いのよ。

なら倒してよ。勇者なんでしょ？

もう、勇者では無いわ貴方は悪魔！

そう悪魔よ！ヒトでは無い、貴方が魔王の手下よ！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい