第20話:カフェで -友達の意味、違い、日和の場合-
「すごいすごい! 日和、すごい!」
「へへーん。すごいでしょー」
猫カフェは日和の家の事情でダメだったけど、日和の言う通り食べ物を扱うお店じゃ仕方ないと思っていたら、日和が代わりに提案してくれたのがこのお店。
おしゃれなお店のラテアートは知っていたけど、まさか立体的なラテアートがあるなんて思ってみなかった。
(私が知らないだけで、他の子はみんな知ってるのかな…………)
もし仮にそうだったら私の女子力が低いことが証明されてしまうが、私的にはそれはもう若干諦めてしまっている。
「3Dラテアートっていうんだけど、めちゃくちゃ可愛くって、いつか絶対来たいと思ってたんだよね。美桜が付き合ってくれて嬉しい!」
ほんわかとした雰囲気を全開にして、日和が楽しそうに話をしている。
私は、まだこういうお店の雰囲気に慣れてなくて、緊張してしてる、日和が楽しそうにしているのを見ると私もすごく嬉しい気持ちになる。
「でも日和、これどうやって飲むの? このまま? それとも……」
「美桜さんや、形あるものをそのまま永遠に残して置くことはできないのだよ。ただ、私はかわいそうなので、少しずつ崩して」
「よっと」
私は、スプーンで猫を半分に崩してしまう。
「美桜ーーーー、なんてことを…………猫好きじゃなかったのか?」
「猫好きだよ。でも、飲み辛いじゃん」
「あんなに『すごいすごい』って言って喜んでたのに、その思い切りの良さって美桜のすごいところだよね」
「そう?」
「猫に合掌。なむ〜」
日和は本当に面白い。
コロコロ笑って、クラスでも日和はよく笑っているけど、こんな顔で笑ってるところは見たことがない。
私は、私の横で太陽のように笑う日和のことが大好きだ。
あと、今日は来られなくなっちゃったけど、ちひろのことも私は大好きだ。
ただ…………比べるようなものじゃないけど、日和に対する好きとちひろに対する好きは違う。
同じだと思った。
だけど…………違った。
ちひろは、私を救ってくれた。
もしあの時、ちひろが居なかったらと思うと、怖くて、怖くて、押しつぶされそうになる。
本当に感謝している。
ちひろがいなければ、今、私はここにいない可能性もあった。
だから、私はちひろが困っていたら、悩んでいたら、絶対に駆けつけてちひろを支えたいと思っている。
たとえこの先、ちひろが遠くに行ってしまったとしても………………。
私は、ちひろの友達として、必ず力になりたい。
でも日和とは、お互いに理解をして、信用をして、一緒ん気持ちを育んでいたいと思っている。
ただ、何かのきっかけで、日和のことがわからなくなったり、信用できなくなったりしたら、この関係は終わりになってしまうとも思う。
それが、私からなのか、日和からなのかはわからないけど。
どっちの関係がいいとかじゃない。
私には日和もちひろも大切だし、私なんかには勿体無い友達だと思う。
だから、そういう問題じゃない。
だけど私は、今の私は、日和と一緒にお互いの関係を深めていけることが、本当に嬉しいと感じている。
「楽しい」
「えっ?」
「いや、いま、楽しいな。って」
「そんなに喜んでもらえたのなら、来たかいがあったよ。美桜が喜んでくれてよかった」
日和は嬉しそうに、残っているラテを飲む。流石にもう猫は残っていない。
(私も、伝えよう…………)
「うーん。そうじゃなくて。…………私、日和が色々話してくれるの好きだし、日和の笑っている顔が好き。あと、さっきみたいに、色々私のことを考えてくれて、それも本当に嬉しかった。そういうの全部合わせて、ありがとうって思って、楽しいなって、思った」
(伝わったなかな…………)
「そっか。私も、美桜と一緒ですごく楽しいよ。ちひろは残念だったけど、美桜と二人で遊びたいって思ってたし。三人で遊ぶのも楽しみだけど、たまには二人で遊ぼうね」
「うん」
「それじゃー、遅くなっても仕方ないから、うち行こっか! 日和、ケーキだったら沢山あるから、好きなの食べていいよ」
「ケーキバイキング! すごい!」
「みーおー。その言葉、忘れるでないぞ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます