壊れゆく口上であります。

エリー.ファー

壊れゆく口上であります。

 ようよう。

 このままでよう。

 言い訳などしていてもよう。

 全く状況はよくならないのだぞう。

 おそらく、世界は変わるはずだから。

 どんどん勝負するしかないんだろう。

 冒頭に近づく限り、考えが腐っていくんだろうがよう。

 ようよう。

 聞こえてるのかよう。

 おい、返事をしろよう。

 どっ、どどう。

 どどどうどうどう。

 流れていく音に心が揺れてしまうのだぞう。

 どっ。どどど。

 言葉は凄く良いものだぞう。

 どどどどどっ、どどう。

 素晴らしい世界を作り出すんだぞう。

 誰が作るのか分かっているのか、聞いているんだぞう。

 ふふふ。

 どっ、どどどうっ、どどっ、どうっ。

 まぁ、好きにすればいいと思うぞう。

 これからは、世界が呼吸をしだすんだぞう。

 もう二度と生きてはいけないんだぞう。

 戦わねばならないんだぞう。

 太陽の中に自分がいることを意識しながら、死を感じる呪いにかかっているんだぞう。

 音が聞こえるぞう。

 きっと、滝の音のはずだぞう。

 どっ、どどっ、どどどっ、どどどどづっ、づづっ、づどうっ、どどどうっ。

 皆さん、さようなら。

 もう、先に行きます。

 影も踏ませない。

 どどっ、どうっ。

 川の音を聞くのは一流の証。

 どどっ、どどどっ。

 悲しくはないのですか。

 少しでも、大切にしたいのです。

 お願いだぞう。

 ここから、どうすればいいのか分からんのだぞう。

 お願いだ。

 お願いだから。

 本当にお願いだから。

「もう、行くよ」

 寂しさと砂漠の音色の中間を知る頃には、何もかもが消え去って雨の中に見える私と近づいていく影があったのであります。

 べん。

 べっ、べっ、べべべっ、べべん、べん、べん、べべべんっ、べんっ。

 えぇ、あぁ。

 この話はぁ、大切ですぅ。

 よくっ、聞いておきましょうって、話ですぅ。

 大事ですからぁ。

 本当に大事な話なのでぇ、本土の人も聞きにきますぅ。

 この雰囲気ではないと楽しめないんですぅ。

 空気があってこそなんですぅ。

 お願いがあります。

「黙っていて下さい」

 はいぃ。はい、はいぃ。

 べんっ、べんっ。

 どっ、どどどっ、どどうっ、どうっ。

 あぁ。

 どうっ。

 どっ、どどうっ、どうっ、べべんっ、べんっ、どうっ。

 口上で御座いますから。

 良いとか悪いとかの話では御座いません。

 もう二度と、生きてはいけないので御座います。

 べんっ、べんっ、べんかっ、べんかっ、べべんかっ、べんかのべべんかかっ。

 べんっ。

「このまま、ずっとこの場所にいたいという考え方自体は、悪くないと思います。ですが、現実が許してくれるでしょうか。想像という自由な世界の法則を現実に持ち出そうとするのは、余り適切とは言えないと思います」

 あぁー、どっこい。

 どこからどもなく、増えてくる人間の数。

 数えきれないほどの思考。

 思想。

 哲学。

 発狂。

 現状。

 改革。

 革命。

 真夜中。

 すべてが、私たちを踏みつぶそうとやって来るぞ。

 ほら、戦え。

 それ、勝った。

 さあ、気が付けば一番だ。

 これでいいのか。

 いいに決まっている。

 催眠のような意味さえ内包されているのか。

「もしも、この山に仙人が住んでいたとしたら、私たちは何を準備すればいいというのでしょう。海に見えた果物の山も、貝に見えた熊の亡骸も」

「分かっています」

「勝っていると思います。でも、私には納得できないことばかりなのです」

「分かっています」

「でも」

「とにかく、先を急ぎましょう」

「どうして」

「悪意も善意も塗りつぶす本物なのでしょう」

 私にはまだ分からないままである。

 べんっ、べべんっ、べべべべんっ、べんっ、べんっ。

 はぁー、よぉっ。

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