キリスト教徒と妖精
キリスト教において、自分たちが信じる神以外は神に逆らった堕天使、つまり悪魔だという説があります。妖精は神に逆らい天から落ちた天使だといわれているのです。
他の堕天使とは違い犯した罪も軽いので地上に落ちたのが妖精で、罪が重く地下の地獄まで堕ちた堕天使が悪魔になったといわれています。
また、先に書いたように妖精はもともと異教の神々であり、キリスト教がやって来てから地下の国に逃れた女神ダヌの子孫たちトゥアハ・デ・ダナーンが姿を変えたものだと言われています。信仰されていたケルトの神々の中には、キリスト教徒融合を図るために聖人などに姿を変えた女神もいました。アイルランドの女神ブリジットは聖ブリージットに姿を変えてキリスト教で崇められています。
また、もとが異教の神であったせいか、妖精たちはキリスト教を嫌う傾向にあるようです。スコットランドのダルスウィントンを治めるのマックスウィル家には良く働くブラウニーがいました。このブラウニーのお気に入りは領主の娘で、娘のためにブラウニーは色々と相談などを聞いてあげたそうです。
そんな娘が産気づいたときに、ブラウニーは大活躍したのです。その日は大雨が降っており、産婆を呼び寄せるにも一苦労するのは誰の眼にも明らかでした。
娘が苦しんでいるのに、支度をする従僕がなかなか産婆の元へ向かわないことに苛立ったブラウニーは自ら馬を走らせて、産婆を迎えにいきます。
そのお陰で娘は無事に赤ん坊を出産することができました。後日、その話を聞いた領主がお礼にブラウニーに洗礼を受けさせキリスト教徒にしようとしますが、ブラウニーは牧師の垂らした聖水を被ったとたんに悲鳴をあげて屋敷から逃げてしまったというのです。
妖精Who,s Who キャサリン・ブリッグズ 井村 君江訳
妖精事典 キャサリン・ブリッグズ編著 平野敬一 井村君江 三宅忠明 吉田新一 共著
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