ビルの屋上は銀河
鳥尾巻
ミツバチ・蜜標(ハニーガイド)
三月の冷たい空気を西風が吹き飛ばし
春の女神がやってくる
あまりに青く晴れた空
眩しいお日様が頭上できらめき
花の香りを乗せた風が私を誘う
綿毛の旅を終え根を下ろした蒲公英が
小さなたてがみを揺らし
愛らしい咆哮をあげる
そこかしこで香る色とりどりの薔薇
ヤグルマギクの麝香にも似た甘い誘惑
そして仄かに色づく桜の淡い香り
ふと見ると
指先に小さなミツバチ
みちびくような囁きのダンス
ふわりふわりと飛ぶ彼を追いかけてビルの屋上
そこは赤い夢幻の花園
ハニカムの瞳
8の字の
まわる
まわる
目がまわる
万華鏡の庭
不可視光線
花弁に散る満天の星
ミツバチの眼に映る銀河
日は翳り星降りる
見上げればビルの屋上にも銀河
ビルの屋上は銀河 鳥尾巻 @toriokan
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